紅の花舞

□十六、狂気の欠片
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私の首を掴んだのは、山南さんであって山南さんではなかった。



薄暗い闇の中で浮き上がる、変色した白い髪。



前髪の間からのぞく、狂気の瞳。



今の彼に理性はあるのだろうか。



私という存在を認識しているだろうか。



(でも…それでも……!)



私はぎりぎりと締め付けられる喉から、必死に声を漏らした。



「山…南さ……っ…!」



私の目から零れ落ちた涙が、頬を伝って彼の手へと落ちる。



――刹那、私の首を締め付ける動きが緩んだ。





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