紅の花舞
□十六、狂気の欠片
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「ぐあ…ぁ……!」
首を掴む手が離れた。
私はその場に膝をつき、指の痕が残る喉で懸命に酸素を取り込む。
「…っはぁ、はぁっ……!」
滲んだ視界をなんとか上げると、白髪の山南さんが写った。
彼は、右手で自分の顔を鷲掴みにして、苦悶の声を上げている。
だが、指の合間からのぞく山南さんの瞳の奥には、小さな理性の光が灯っていた。
「…失敗…したようですね……。
自分で思うより私は賭けに弱かったようで…」
そして、彼の口から告げられたのは、残酷な言葉だった。