紅の花舞
□二十、滴る紅
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「葉城くん、具合はどうだ?」
戸が開けられ、山崎くん、近藤さんと歳兄、左之さんが入ってきた。
「全然、何ともないよ。
なのに千鶴が起きさせてくれないんだもん」
「だ、だって奏樹ちゃん、私を庇ったせいで…」
千鶴の目に涙が浮かぶ。
彼女のことだから、きっと責任を感じているのだろう。
「ね、着替えと髪の毛、千鶴がやってくれたの?」
「う、うん…あのままじゃ寝づらいと思って…」
「そっか。ありがとね、千鶴」
「…!」
笑いかけると、糸が切れた様に泣き出す千鶴。
ずっと我慢してたんだろうな。
彼女の頭を、私は起き上がって近藤さんみたいにぽんぽんと撫でた。