紅の花舞

□二十三、嵐の前の静けさ
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――数日後。


私は皆と一緒に角屋へ来ていた。


「いや〜!
左之、お前は本当によくやった!
まさか、報奨金で皆にご馳走したいなんて言ってくれるとはな!」


「新八さん、褒めるならそこじゃなくて、制札を守りきったってところじゃないかなぁ」


「いや、そこはもちろん褒めるけどな。それ以上に、ここの勘定を左之が持ってくれるってことに感激して、涙がちょちょ切れそうで…!」

「皆、今夜は左之のおごりだ!
目一杯飲んで日頃の憂さを晴らしてくれ!」


「てめぇ、人の金だと思って…」

「左之さん、ありがとよ!
今日は勘定を気にせず、好きなだけ飲ませてもらうからさ!」


「みんながみんな、お酒が飲めるわけじゃないんだけどな」


「そう言わねぇで、せっかく来たんだから、うまい物たんと食っとけ」


「…まあ、そうですね。どうせ払いは左之さん持ちなんだし」


皆が角屋へと入っていく中、千鶴が扉の前で立ち止まる。


「…ここまで来て遠慮などするな」


「そうそう!
お腹いっぱいご馳走食べよ!」


「うん!」



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