紅の花舞

□二十四、言の葉ひらひら
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そんな中、ふと辺りを見回したとき――。


「あれ?」



人混みの中に知った顔を見つけた。


あそこにいるのは…薫さん!?


千鶴に似ているその顔立ち。


見間違うはずもない。



だけど、その姿はあっという間に人混みの中に消えていく。



「――薫さん!」


「ちょっと!」


思わず駆け出そうとした私を、総兄が鋭く呼び止める。


でも、今追わなければ薫さんを見失ってしまう。



「――ごめん総兄!ちょっと忘れ物したから先に行ってて!」



私は彼の制止を振り切って、人混みの中へ飛び込んだ。




「やれやれ、まだ外に出たばかりだと思うんだけど。
一体どこに何を忘れたって言うんだろうね?」




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