紅の花舞
□二十六、繋がれた手の温もりが
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「ああ、おはよう奏樹」
「おはよう奏樹ちゃん!」
広間に足を踏み入れると、話をしていた井上さんと島田さん、それに千鶴が声をかけてくれた。
「おはよう。千鶴、腕は大丈夫なの?」
「あ、うん、傷は浅かったみたいだから平気だよ」
千鶴はそう言ってくれたけど、包帯が巻かれた腕はひどく痛々しい。
それに羅刹に斬られたのだから、恐怖もあっただろう。
「…ごめんね、私がもう少し早く駆けつけられたら…」
「そんな、奏樹ちゃんのせいじゃないよ!だから気にしないで、ね?」
落ち込む私を千鶴が気づかってくれる。
「…ん。次は必ず守るからね」
「うん!ありがとう」