紅の花舞

□二十六、繋がれた手の温もりが
5ページ/15ページ



境内に出ると、一人の姿を見つけた。


「平助っ!」


「ははっ…やっぱつかまっちまったか」


私が駆け寄ると、平助は困たように笑った。


「…本当なの?
伊東さんについていくって…」


「お前、やっぱり単刀直入に聞くよなぁ」


そう言った平助の表情は、どこか寂しげだった。



「俺はさ、尊王攘夷とか佐幕とか…誰が正しいとか、どっちが正しいとか…。
やってみないとわからないと思う」


平助が空を見上げながらぽつりぽつりと話しだす。


「俺は、この国のためには何が必要なのかってことを見てみたい。
だから、今回は伊東さんについて行くんだ」






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ