紅の花舞
□二十六、繋がれた手の温もりが
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境内に出ると、一人の姿を見つけた。
「平助っ!」
「ははっ…やっぱつかまっちまったか」
私が駆け寄ると、平助は困たように笑った。
「…本当なの?
伊東さんについていくって…」
「お前、やっぱり単刀直入に聞くよなぁ」
そう言った平助の表情は、どこか寂しげだった。
「俺はさ、尊王攘夷とか佐幕とか…誰が正しいとか、どっちが正しいとか…。
やってみないとわからないと思う」
平助が空を見上げながらぽつりぽつりと話しだす。
「俺は、この国のためには何が必要なのかってことを見てみたい。
だから、今回は伊東さんについて行くんだ」