紅の花舞 弐

□三十三、堕ちてゆく
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息を切らして夜の京を駆け抜ける。



私はやっとのことで、浅葱の羽織を見つけた。



総兄が対峙していた人物がわかると同時に、激しい心臓の痛みが私を襲う。



「薫…!」


薫はちらりと私に目を向けた。



「…近藤さんを撃ったのは君?」


総兄が低い声で問いかける。


「証拠も無いくせに俺を疑うの?これだから人間って奴は…」


薫は、馬鹿にしたような口調でせせら笑う。


「そういえばちょうどあの日だったかな。御陵衛士の残党に会ったよ。彼ら、騙し討ちにされた伊東の恨みを晴らしたいんだって。奉行所に討ち入る勇気も無いみたいだから、街道に張り込めばいいとは教えてあげたかな」


総兄の眼差しがより鋭くなる。




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