紅の花舞 弐
□三十三、堕ちてゆく
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そんな私達を眺めて、薫は楽しげに笑っていた。
「間抜けだなぁ…。でも、沖田ならかばうと思ってたよ」
最初から総兄が狙いだったのだ。
「誰かさんを守ったせいで、沖田は重症だ。怪我、痛そうだね。可哀想だなぁ…」
楽しくて仕方がないという様に笑い続ける薫を見て、私の中の何かが切れる音がした。
再び向けられた銃口に向かって、私は走る。
肉を刃が切り裂く感覚。
顔に 羽織に 血飛沫がかかる。
「…う、うわああああ!!」
闇夜に響く断末魔。
気づくと私の周りには屍が転がっていた。