紅の花舞 弐

□三十三、堕ちてゆく
6ページ/9ページ



そんな私達を眺めて、薫は楽しげに笑っていた。


「間抜けだなぁ…。でも、沖田ならかばうと思ってたよ」


最初から総兄が狙いだったのだ。



「誰かさんを守ったせいで、沖田は重症だ。怪我、痛そうだね。可哀想だなぁ…」



楽しくて仕方がないという様に笑い続ける薫を見て、私の中の何かが切れる音がした。



再び向けられた銃口に向かって、私は走る。



肉を刃が切り裂く感覚。



顔に 羽織に 血飛沫がかかる。



「…う、うわああああ!!」



闇夜に響く断末魔。



気づくと私の周りには屍が転がっていた。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ