紅の花舞 弐
□三十七、息も出来ないほど
2ページ/8ページ
「風間家に伝わる秘薬で、少しお前の鬼の力を制御させてもらった。発作があっては、隠れ家から連れ出すのも手間がかかるからな」
そういえば、風間達と接触しているのにちっとも苦しくない。
でも、どうして千鶴ではなく私を連れてきたのだろう。
(まさか、私を囮にするため…!?)
私がにらむと、風間は少し呆れたようにため息をつく。
「安心しろ。今日はお前にもあいつらにも、危害を加えるつもりはない」
「手荒な真似をしたこと、お許し下さい。貴女様と落ち着いて話がしたかったのです」
「話…?」
心なしか、二人にはいつものような鋭い気配がない。
少し警戒心は残るものの、私はその話に耳を傾けることにした。