紅の花舞 弐

□三十七、息も出来ないほど
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「風間家に伝わる秘薬で、少しお前の鬼の力を制御させてもらった。発作があっては、隠れ家から連れ出すのも手間がかかるからな」



そういえば、風間達と接触しているのにちっとも苦しくない。



でも、どうして千鶴ではなく私を連れてきたのだろう。


(まさか、私を囮にするため…!?)



私がにらむと、風間は少し呆れたようにため息をつく。



「安心しろ。今日はお前にもあいつらにも、危害を加えるつもりはない」


「手荒な真似をしたこと、お許し下さい。貴女様と落ち着いて話がしたかったのです」


「話…?」



心なしか、二人にはいつものような鋭い気配がない。


少し警戒心は残るものの、私はその話に耳を傾けることにした。




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