紅の花舞 弐

□三十七、息も出来ないほど
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「お前は、自分が葉城家の鬼だということは知っているな」


風間に問われ、私は頷く。


薫が言っていた、西にも東にも属さない、旧き血を継ぐ女系の家――。



「葉城家には遥か昔、かの鈴鹿御前と並ぶ力を持った鬼の姫がいたのだ。彼女は鬼の中でも並外れた力と、長としての素質を持ち合わせていた」



彼女が鬼の一族を統べている間は、争いもなく、平和な日々が続いたという。




「そしてその姫が死ぬ時に、こう告げた。自分は必ず生まれ変わる。その証に額に五本の角を持って生まれ、再び全ての鬼を従える姫となる――と」


「五本の角…?」


「鬼の角はその者が持つ力の強さを表しています。私や不知火は二本、千姫は三本、風間でさえ四本なのです」



つまりそれだけ強大な力を持っているということだ、と天霧が教えてくれた。




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