紅の花舞 弐
□三十九、舞い落つ願い
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「せっかく君と恋仲になれたんだから、もう少しこうしていたい」
「…っ」
耳元で低く囁かれて、私は思わず目を瞑る。
(私、本当に総兄と恋仲になったんだ…)
昨日の出来事が夢ではないと、彼が教えてくれる。
「好きだよ、奏樹ちゃん」
そう告げた総兄は、私の額にそっと口づけた。
唇が触れたところが、ひどく熱くなると同時に、何だかくすぐったい気持ちになる。
「…私も、総兄が好きだよ」
笑って見上げると、なぜか彼は私の肩に顔をうずめるようにしてきた。
「…その顔、可愛すぎ。どこまで僕を惚れさせる気なの?」
「え!?そんなつもりは…」
「今の表情、他の人に見せちゃだめだからね。やっと僕だけのものにできたんだから」
まるで照れ隠しのように、私を包む両腕に力を込める総兄。
幸せを感じながら、私はそっと彼の背中に手を回した。