紅の花舞 弐
□三十九、舞い落つ願い
5ページ/11ページ
「そういえば、今日は一人なんだね。沖田はどうしたの?もしかして、血に狂ったとか、死んだとか?」
「薫!!」
私が声を荒げると、薫はますます笑みを深くした。
「冗談だよ。…ねえ、手土産代わりにいいこと教えてあげようか」
「いいこと…?」
薫の言葉に、私は眉をひそめる。
「お前の血を与えれば、沖田を助けてやることができるんだよ」
「私の、血…?」
「俺達鬼は血に狂わないだろ?でも、怪我が治るのは早い。まがい物の羅刹に血をやれば、その力を分けてやれるってわけ」
つまり、私の血を総兄にあげれば怪我の治りが早くなって、血にも狂わないようになるということ?
この話を信用してもいいのだろうか。