紅の花舞 弐
□三十九、舞い落つ願い
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「う…ん…」
はっきりしない思考の中で、優しい温もりに包まれているのがわかる。
(これはどっちかというと、抱き着かれているような…?)
目を開けてそっと顔を上げると、
「っ!?」
そこには総兄の綺麗な寝顔。
(な、何で私、総兄と一緒に寝てるの!?)
そして、昨日風間達のところから苦労して帰り、疲れてそのまま眠ってしまったのを思い出した。
(総兄、傷も治りきってないのに、無理して来てくれたんだよね…)
彼に抱き締められていて身動きがとれない私は、その寝顔を眺める。