紅の花舞 弐
□四十二、出発への一歩
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「…ずいぶん窮屈だね、西洋の服って」
「自分は着たことが無いのでわかりません」
隣の部屋から、総司くんと山崎くんが話しているのが聞こえてくる。
総司くんはもう着替え終わったらしい。
「…ああそうだよね。山崎君に同意を求めた僕が馬鹿でした」
他人事のように返され、すねたような総司くんの声が聞こえた。
「奏樹、もう着替え終わったんでしょ?早く出ておいでよ」
不意に襖の向こうから声をかけられて、心臓が跳ね上がる。
「だ、だって…(この服、丈が短いんだもん…!)」
なれない洋服に戸惑ってしまう。