紅の花舞 弐
□四十六、そっと桜流し
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私達は夜になってから出発した。
新選組を追うため、山道を歩いていく。私は何とか体力が持っているけど、総司くんの様子がおかしい。
私の前を歩く彼はどこか苦しそうだ。それはほんの少しの変化だったけれど、私にはわかってしまう。
やはり無理をしているのだろうか。今日はここで休憩にしよう。そう声をかけようとした時だった。
がさっ
草の茂みを掻き分ける音と共に現れたその存在は、私達の身体をこわばらせた。
「貴様ら、幕府側の兵だな!?」
「新政府軍か…!」
すかさず私達はそれぞれの得物に手をかける。互いの間に緊張が走る。
幸い偵察なのか相手は一人。銃は持っているけどそれさえかわせば逃げれるはず。無駄な血は流したくない。
そう思い隙を窺っていたのだが――。