紅の花舞 弐
□四十九、残花
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馬が駆けだす中で私の目にははっきりと映っていた。
大きく振り上げられた白い刀を。それが振り下ろされ、鮮血の花が爆ぜるのを。
「――嫌ああああああああッ!!!」
慟哭が風に掻き消される。どんどん遠ざかる景色。
これが正しかったの?わからない。わからない。溢れ出る涙は何も教えてはくれない。
ガアンッ!
「っ!?」
突然の衝撃と共に私の体が地面へと叩き付けられる。左腕に走った熱い痛みで、自分が撃たれたことに気が付いた。
「いたぞ!新選組の者だ!」
落馬した私の周りに多くの敵が集まってくる。大方、刑場から連絡の来た警護の者達だろう。ざっと見ただけで十五はいるだろうか。それぞれ手には銃や刀を持っている。