紅の花舞
□三、 その背を押す風が
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月日は流れ、試衛館にも仲間が増えていく。
そして文久二年。
私が試衛館に来てから、何度目かの秋がきた。
「胴あり!それまで!」
互いに一礼をして、向き直る。
「ちぇー。とうとう奏樹に負けちまったかぁ。」
「えへへ、ありがとうございました!」
試合が終わった私達のところに、左之さんや新八さんが集まってきた。
「おぉ、ついに平助から一本とったか!」
「お前も成長したなぁ。ついこの間まですっ転んでばかりだったのによ。」
「な、それは言わないでよ!!」
怒る私を見てはははと皆が笑う。
「よくやったな奏樹!今のはいい試合だったぞ!」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
近藤さんがその大きな手で私の頭をわしゃわしゃと撫でてくれる。
「私、父様と母様が残してくれたこの空舞桜にふさわしい者になりたいです!」
私がそう言うと、近藤さんは優しく微笑んだ。
「そうだな。では、自分にしかできない戦い方を身に付けねばならないな。」
「自分にしかできない戦い方…ですか?」
「そうだ。奏樹だけの剣だ。」
「私だけの、剣…。」
私は空舞桜にそっと目をやる。
「近藤さん、私頑張ります!!」
「うん、いい目だ!その気持ちを忘れないんだぞ!」
「はい!」
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