紅の花舞
□四、 空が露草色に染まる頃
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皆が京に行ってから半年以上が過ぎた。
できたばかりの組織で、仕事もたくさんあるだろうに、皆はこまめに文をくれた。
京の街の話、上覧試合の話、相撲興業の話…。
書いてあるのは明るい話ばかりだった。
でも、浪士組での生活は決して楽しいことばかりではないだろう。
江戸にいる私達に心配をかけないように、明るい話ばかりを選んで書いているのが感じられた。
そして、昨日届いた歳兄からの文に書いてあったことを思い出す。
それは、局長筆頭の芹沢鴨という人が浪士に斬殺されたことと、浪士組が新選組という名前になったことだった。
新選組は今、大きな変革の最中にある。
そして私は、未だ自分の剣を見つけられずにいた。
江戸にいたままでは、何も変わらない。
行くなら、今しかない。
だけど―。
“お前は江戸に残って、ツネさんと一緒にこの道場を守れ。”
京に行く前の歳兄の言葉がよみがえる。
ただでさえ生活は苦しいのに、私がいなくなったらツネさんは一人で周斎先生や娘のたまちゃんの世話をすることになる。
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