紅の花舞

□五、 その瞳に宿りし光は
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―京に着いてから、どれくらいの月日が過ぎたのだろうか。


ゆっくりと流れていく雲を見上げながら、僕は縁側に腰かけた。



最近、こうやってぼーっと過ごす事が多くなった気がする。


近藤さんには、具合でも悪いのかと心配されたぐらいだ。


別に京へ来た事を後悔したりしてる訳ではない。


新選組の剣として、近藤さんのために戦う事が、僕の一番望んでいる事だから。



じゃあこの感じはなんだろう?



すると、不意に美しい黒髪に紅い瞳のあの子の姿が浮かんだ。




「…奏樹ちゃんがいないからかな。」




芹沢さん達がいた時は、近藤さんの役に立つ事で頭がいっぱいだった。


彼らがいなくなってから、あの子の事を考える時間が増えた気がする。




最後に見た奏樹ちゃんは、京へ向かう僕らを目に涙をいっぱい溜めて見送っていた。



彼女の姿が小さくなってもそこに立っているのがわかったけど、振り返る事はなかった。





振り返ったら、今にも泣き出しそうだったから。






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