紅の花舞
□六、 空色の笑顔
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「わぁー!綺麗な月!」
庭から見える満月に、私は感嘆の声をあげた。
私が新選組に入隊してから数ヵ月が過ぎた。
仕事にも慣れてきたし、碁盤のような京の道も迷わずに歩けるようになった。
他の隊士の皆も、すごくよくしてくれている。
ただ、女だという事がわかるとまずいからと、私だけ個室にしてもらっているのが申し訳ないけど…。
「よし、明日も頑張ろう!」
そう言って部屋に入ろうとした時だった。
「ひゃははははは!!」
「!?」
どこからか妙な雄叫びが聞こえてきたのだ。
「今の…門の方から聞こえてきた?」
勝手な事したら歳兄に怒られちゃうかな…とは思ったけど。
「ちょっと様子を見るだけなら…いいよね?」
そう思った私は寝間着姿で髪も下ろしたまま、草履を履いて門へと向かった。
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