紅の花舞

□八、 月明かりの下で
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―文久三年、十二月。





季節は冬に変わり、雪がちらついている。






浅葱の羽織に袖を通すと、指先が赤くなっているのに気がついた。





「奏樹ちゃん、もたもたしてると置いていくよ?」

「あ、今行く!」





既に支度を整えた総兄に呼ばれ、慌てて部屋を出た。







羅刹を斬ったあの日以来、私は秘密を知る者として「夜の巡察」に加わっていた。






羅刹の存在を知っている人間は幹部の中でも限られているため、人手が足りない状況だ。





だから私は皆の反対を押しきって巡察に行くと申し出たのだ。






私だけ手を汚さないでいるなんて、そんなの絶対に嫌だったから。







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