紅の花舞
□十、 闇と光と
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空が茜色に染まっていく。
部屋から外を眺めると、冷たい風が吹き抜けた。
あの日以来、他の隊士さんの目もあり、私は男装をして男として生活している。
といっても、土方さんに「部屋を一つやるからじっとしてろ」と言われ、何もできずにいた。
「いつになったら父様を探しに行けるのかなぁ…。」
「それは君の心がけ次第じゃないかな?」
「!!?」
ぽつりと呟いた一言に返事が返ってきた事に驚く。
慌てて振り返ると、何故か沖田さんがいた。
「あれ、もしかして気づいてなかったとか?
今は僕が君の監視役なんだけどなー」
そう言われて、自分が見張られている立場にある事を思い出す。
「もしかして今の独り言、聞こえてました…?」
「んー?」
もちろん聞いていた、なんて彼は言わなかった。
ただ、きらきら輝く笑顔で私を見つめていた。
(これ、絶対聞かれてた…。)
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