紅の花舞
□十七、優しさはいつも
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そして、長い夜が明けた。
新選組の幹部たちは、再び広間に集合した。
私と、それから昨晩偶然にも幹部たちの話し合いを聞いてしまった千鶴も呼ばれた。
ただ沈黙だけが続く時間を破ったのは、井上さんの登場だった。
「…峠は越えたようだよ」
張り詰めていた場の空気を、その言葉が緩めてくれた。
「今はまだ寝てる。
…静かなもんだ」
「山南さん、狂っちまってるのかい?」
新八さんが問いかけると、源さんは首を横に振った。
「…確かなことは起きるまでわからんな。
見た目には、昨日までと変わらないんだが」