紅の花舞

□二十、滴る紅
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遠くに響く烏の声。


ぼんやりとした視界に、私を覗き込む誰かの顔が映る。


「奏樹ちゃん!?」


「…千鶴……?」


千鶴が慌てて立ち上がり、部屋の外へ出ていく。


「山崎さん、奏樹ちゃんが!」


続いて何人分かの足音が聞こえてくる。


「んー…、今何時…?」


「まだ起きちゃ駄目だよ!
奏樹ちゃん、二日も眠ってたんだよ!?」


そう言われて、自分が倒れた事を思い出した。


そういえば、今は寝巻きを着ていて、結っていた髪も下ろされている。



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