紅の花舞
□二十四、言の葉ひらひら
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季節は移り変わり、春を迎えた。
京の都には、もう桜が咲き誇っていて、町全体が華やいだ雰囲気に包まれていた。
穏やかな春の陽気に、思わず足取りも弾んでしまう。
「桜綺麗だねー」
「そうだね」
巡察しながら総兄に話しかけると、優しく返してくれる。
「あ、桜餅食べたい!
帰りに買いに行っていい?」
「あはは、君ってすぐ食べ物に頭がいくよね」
「むー、そんなことないもん!」
総兄にくすくす笑われて、私は頬を膨らませる。
「いいよ、後で茶屋にでも寄ろう?
皆の分も買うんでしょ」
「ありがとう総兄!」