ホスト婆裟羅(政宗編)
□プロローグ
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まぁこいつらは昔から知った仲。
仲良しなのかそうでないのか、とりあえずよく三人で居るのが多かった。
確か小学生の頃俺はその言葉遣いを幸村に向けてからかった時、
「お前は江戸時代の野郎かよ!」
と指差して言った事があった。
だがその時の幸村は、
「某は立派な侍でござる!」
と堂々胸を張って言いやがった。
その後色々と喧嘩をし、最終的に徒競走でケリをつけたが……
何だか今、思いだし笑いをしてしまった。
「政宗殿、某可笑しな事をしたでしょうか?」
「竜の旦那、ニヤリとしちゃってどうしたのさ?」
「ん?ah〜何でもねぇ」
笑いを堪えられなかった俺を、二人は向かいと隣の席に座り不思議そうな顔をしていた。
「んじゃ、授業終わったし帰るぜ俺」
「え?あ、もうそんな時間でござるか」
大学の授業は三時間だけあった。
今日は朝っぱらから庭の手入れで何だが小十郎になった気分だ」
太陽の下でやることは苦痛……というか疲れない事この上ない。
「もう昼の時間でござるな」
幸村はまだまだやる気満々なのか、どういう訳かスコップを振り回していたが気にしない。
生憎ここには幸村のお守りの佐助も居ない為止める奴も居ない。
そんなことは放っておき、俺は自分が持っていたスコップを幸村に渡した。
「今日一時からバイトなんだ。時間ねぇから俺のスコップも片付けて置いてな」
ほい、と渡されたスコップに幸村はきょとんとしている。
「む、一時からでござるかぁ……大変でござるな」
「money稼ぎてぇからな。じゃ、片付け頼んだぜ?」
ま、嫌と言われても押し付けるが。
でも幸村は嫌と言わず、「分かり申した!」と言い今度は二本のスコップを振り回し用具入れへと向かって行った。
途中、教師の怒鳴り声が聞こえた。
多分怒られたんだろうな。
早帰り。
俺はそれをよくしている。
午後に講義があれば出るが、殆どそれは無いため平日の午後は全てバイトにと費やしていた。
これも余談だが、学科は違うがやけにフレンドリーな男に話しかけられダチになった奴がいる。
前田慶次と言う派手好きな奴で女誑しな野郎だが、何度か言われた。
「合コン行こうぜ」
と。
「んなもんは興味ねぇ」
と俺は言ったが慶次の野郎、
「バイトばっかしてっと恋も忘れちゃうよ〜」
とニヤニヤして言ってきた。