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□甘い魔法にご注意を
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どうしてこうなった?
「グリル〜構って〜?
ボクのこと好きなんでしょ〜?」
マルクはソファに座るボクちんの隣からぎゅうっと抱きつき、ほっぺを擦り付けてきた。
固まるボクちんのほっぺに何度もキスをして、また擦り付ける。
らしくないセリフを紡ぐのはいつもより高い猫撫で声で、もしここにマホロアがいたら絶対にお腹を抱えて大笑いしていただろう。
……どうしてこうなった!?
「ねえグリル〜?どうしたのサ〜?」
「マ、マルク……?」
どうしたのサ?はこっちのセリフだよ。
呼びかける声も若干震えてしまう。
今までに見たことがないくらいに甘えっぷりだ。
お酒を飲みすぎた時もたまーに甘えてくれるけど、ここまでデレデレなのは初めて。
珍しいものを見られてラッキーだと思う反面、後の事を考えるとちょっと怖い。
くっついてくれるのは正直嬉しかったりするけど、ボクちんたち体格差が結構あるから、こう全力でもたれかかってこられるとちょっと重たい……。
ボクちん自身も混乱しているし、お互い落ち着くためにも少し離れないと……!
「ごめんマルク、ちょっとだけ放してくれないかな?」
「こっち向いて?」
人の話を聞いちゃいない。
しかも恥ずかしくて背けていた顔を、無理矢理マルクの方に向けられた。
吐息のかかる距離で瞳を覗き込まれれば、冷静になろうとする気持ちがいとも容易くかき混ぜられる。
「……本当に可愛い」
そう囁くマルクの瞳は、蕩けそうな桃色に染まっていた。