他の。

□鎧武【貴晶】まとめ
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【愛情について】


私が何を言ったところで、彼は変わらない。きっと変わらない。世界の何も、彼を変えることなんて出来やしない。
その変わらないし変われないところが、彼が彼で居られる所以なんだろう。

そう思う私だって、変わらない。何を言われたところで、きっと変われない。世界の何も、私を変えることなんて出来やしない。

変われない私たちは、変わらないまま存在する。
私はこうして弟を愛することしか出来ないし、彼もああやって弟を愛することしか出来ない。
変わらない愛し方しか、出来ない。

「母性愛も父性愛も、あるもんですか」
無意識に零れ落ちた私の呟きは、思った以上に小さくてくだらなかった。
その呟きに、彼はほんの一瞬だけ、振り返った。その横顔は、やっぱり変わらないいつものものだった。





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【Zoo】


(痩せた黒豹)


彼の姿を見る度に、私は連想する。
なめらかな黒い毛並みの、獣を。独りきりで静かに生きているような、人を信じない痩せた生き物を。
別にその姿を、悪いとは言わない。その姿は、どこまでも美しくて強いものだから。

けれど。

(けれど、檻から出ちゃえばもう少し楽になれるのに)

痩せた黒豹は、ひとりきりで檻の中。狭い世界に閉じこもって、遠くに思いを馳せている。
自分の居場所はそこだと、自分の世界はそれが全てだと、信じきっている。
黒豹は、そこから出ようとすらせず、ひとりぼっちで檻の中。

その檻を、私はいつか開けることが出来るのだろうか。





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【味蕾の敗北】


「ほら肉じゃが食べて!」

狭い食卓。でもそれなりの品数はある食卓。あたたかい食べ物の、並ぶ食卓。
それを二人きりこじんまりと囲んで弟に言いながら、私はふと、彼を思い出すのだった。

ものを食す場面を、到底想像出来ないあの人を。

人は食べなきゃ生きてはいけないいきもので、だからきっと勿論彼も、私の知らないどこかで、ものを食べてはいるんだろう。分かっている。
分かっていても。

(ほんと、かわいそう)

肉じゃがなんて食べたこともなさそうな、あの口元。記憶の中の彼の姿は、なんだかひどく、さみしそうで。

その姿を振り払おうと、私はお手製の肉じゃがを口に運ぶ。味が良く染みているはずのそれは、なぜだかほんの一瞬、味気なく感じた。








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リクエストとかでついったで書いた、貴晶まとめ。お姉ちゃん可愛いよお姉ちゃん!

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