小説ー最遊記

□余所見
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「何を見ても。三蔵が一番綺麗だって、思って」

やっぱりな。
自覚と言うのは、無いのか。

「少しは自覚しろ」
「何を?」
何をじゃないだろ!?
言ってやりたいが、我慢した。
紫煙を吐き出す。

煙と同じようだな。

我ながら陳腐な事を考える。
悟空の一言で、イライラが治まる。
普段通りに、冷静でいられる。

少しからかってみるか……。

「悟空」

やられぱ無しは、己の主義に反する。

煙草を揉み消す。
「何?」
とっとっと……と、リズムを刻んで寄ってくる。
見上げる顔と瞳。
幼さが残る顔に、意地悪な笑みを見せる。

「そんなに、綺麗なら俺だけを見てろ」
「え?」
「良いから。俺だけ見てろ」
「?。うん」

意味が分かっていないが、取りあえず頷く。
よし。と言った感じに、頭を撫でる。
嬉しいそうに悟空は笑う。

「余所見なんか、するんじゃねーよ」

余所見なんてしないだろ。
言いたくなったから、言った。
多分、意味なんて分かってない。(なんせ、サルだから)

そのうち自覚してもらう。

そんな二人を日の光が差し込む。
雰囲気に合わせたように、ぽかぽかと。

ーENDー
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