創作部屋
□聞こえる距離で
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気づいたら,屍の山―――
誰だったか分からない肉塊。
多分,知っているあいつだったか。こんな奴だったか。
それすら分からない。
分かっているのは,もう動かない事。
気づいたら,血の海――――
周りが真っ赤に。彼岸花みたいだ。
他人事のように思う。
手を見たら,手も真っ赤で。
羽織すら綺麗に真っ赤に染まっていた。
気づいたら,自分だけが立っていた――――
何処を見渡しても,一人,一人。
独り 独り
ひとり ひとり
ヒトリ ヒトリ
そうか,一人か。
呟く声は闇に消える。
ゆっくりと歩き出した。
敵か味方。
今の自分には,どっちだっていい。
どっちだって。
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