創作部屋

□溶けないうちに
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此所は歌舞伎町。
いろんな人達が出入りし、毎日が騒がしい。
と言うより一人一人の個性が強い。
皆自分の信念(中には違う人もいるが)を真っ直ぐに貫き、生きている。
そんな歌舞伎町に住んでいる、ちょっと変わった恋人達の物語。



「新八〜〜。暑いよ〜〜!!銀さん溶けるよ。ドロドロに溶けて、放送禁止の物体になっちゃうよーーーー!!!!」
「既にアンタと言う存在自体が、放送禁止の物体だよ」


ボケの台詞に対抗するようにツッコミの台詞で返す。
銀時は今、新八の家にいる。
もう一人五月蠅いであろうと予測出来る人物ーー神楽だが、唯今新八の姉お妙と一緒に買い物に出かけている。

つまり、新八の道場にいるのは銀時と新八しかいない。
仮にもこの二人は恋仲だ。
俗に言うような、あーんこと。こーんなこと。そーんなこと。が出来る環境ではある。

しかし此所の所茹るような暑さが続き、何もしたくないと言うのが現状だ。
この時代にはクーラーと言う素晴らしい家電製品はあるが、貧乏な志村家ではクーラーではなく扇風機しかないが。


「新ちゃんーー。つまんないよ!!!構ってよ!!」
「アンタさっき、暑くて溶けるとか言ってただろが」

「えーー!旦那さんが淋しいって言っているんだから、心優しい奥さんは旦那の為にーー……」
「ちょっと待てよ!!人がツッコミしないからって勝手に話を進めるな!!大体、まだ結婚してないだろが!!!!!」


会話だけなら、そこらにいる夫婦漫才顔負けだ。
ある意味では、熟年夫婦とも言えるかもしれないが。


机には、空になった二つのコップを新八何気なく見ていた。



一応、僕と銀さんは恋人同士なんだよな…………。


先程銀時が言った台詞が反芻される。




『旦那さんが淋しいって言っているんだから、心優しい奥さんは旦那の為にーー……』




幼い頃から、家事が得意だった新八にとって家事は問題ではない。
どちらかと言うと姉のお妙の方が心配である。

男ではあるが、よく「お母さん」と言われる。
銀時からもたまに「お母さん」と言い、新八をからかう。



だが
「お母さん」と
「奥さん」では

立場も違う気がする。


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