星の降る街
□おじいちゃん 参上!
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事の発端は、妹の眞子が発した言葉だった。
昨夜、夜中に目が覚めた私は、隣で寝ているはずの妹の眞子が起きあがってブツブツ言っているのに気づいた。
私は3人姉妹の長女で、眞子は一番下だった、まだ幼稚園だったので夜寝るときは私の部屋で寝ている。
本来なら親と寝るのだろうが、うちは両親ともども共働きだ。
なので朝早い親に代わって私が夜は面倒を見ていた。
とは言っても、赤ちゃんじゃないから夜中に泣いて起きることはないし、さして大変ではない。
私も寝てしまうとめったに目は覚めない性質なのだけれども、昨日の夜は何故か目が覚めた。
真っ暗な部屋で子供の声がする。
隣の眞子の方へ頭を巡らせると、眞子が布団の上に起きあがって何やら楽しそうに声をあげていた。
・・・寝ぼけたのかな・・・。
私もまだまだ眠かったので、そう思いながらもまた眠りについてしまったのだ。
それで、ふと・・・朝とっくに出かけた両親の代わりに朝ご飯を食べさせている時、思い立って眞子に聞いた。
「ね、眞子。昨日夜中に起きてたでしょ。誰と話してたの?」
眞子は口の周りにジャムをつけながら
「えっとね。おじいちゃん。」
おじいちゃん?
「それ・・・はどこのおじいちゃん?」
おじいちゃんって言っても色々いる。お隣の花坂さんだっておじいちゃんだし、
眞子がよく会う町内のおじいちゃんって言ったら、何人かはいるのだ。
だけどこんな夜中に誰かが部屋まで入ってくるのはあり得ないか・・・
我ながら馬鹿な質問をしたなと思っていると眞子は、
ジャムでべたべたの手で牛乳の入ったカップを持って飲みながら不思議そうに
「おじいちゃんだよ? 安田のおじいちゃん。」
おじいちゃんは一人しかいないでしょ?と言うような口調で訴えた。