Lovers

□プロローグ
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「本日をもって、実験体No.209の実験を終了する」





ギィ…と錆びれた鉄のドアが開くと共に現れた複数の科学者。



突然の実験終了の言葉に少女の頭は暫し混乱する。



その間にも科学者たちは淡々と言葉を綴り続ける。





「明後日から、ミルス・クレア魔法学院に生徒として通うことになった。
古代種の奴らの配慮でな。
今宵12時に迎えにくる。
それまでに荷物をまとめるように」





そこまで言うと科学者の一人が少女の両手両足を拘束していた鎖を外した。



用が済み、退出するため扉に向かう科学者たち。



さのうち、一番後ろにいた一人が退出する直前に少女に向き直る。





「言っておくが、我々はまだNo.209……フィアラ・リナウドの解放を認めたわけではない。
古代種以外の全属性の存在は非常に貴重だ。
あくまで一時的な自由だと思うことだな」





言いたいことを言い残すと扉を閉めた。



辺りに再び、静寂が戻る。





「私が…自由……」





呟いた言葉は誰に聞かれるとなく、静寂に吸い込まれていく。



未だに自由になったという実感がなく、しかし、手首に手を当てるとそこを支配している鎖はなくて。



鉄格子越しに見る月はいつもと変わらず、ただ美しい光を放っていて。





「私が…自由に……」





もう一度呟いた言葉も、やはり誰に聞かれるとなく、ただ静寂に吸い込まれていった。





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