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□夏の終わりに(11×07)
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ドンッ、と小さく鈍い音が響く。


「んっ……!」

東月は強く押し当てた俺の唇から逃げようとするが、後ろには壁があり無駄な抵抗である。
そもそも逃がすつもりは無い、と俺は両手で赤くなった頬を包み込む。

「東月…」

唇を離し、名前を呼んでやる。
薄く開かれた東月の瞳が俺の瞳を捕え、一際見開かれては強く閉じられる。
そんな姿も愛しい。

「ふ…っ、ん…あ…」

もう一度本能のままに熱くなった唇に吸い付く。
零れた吐息の隙を付き、さらに熱い口内へと舌を侵入させる。
歯をなぞる様に進み、舌先で軽く歯奥を突けば東月の舌が俺に応えるように絡まってくる。

「……んふ…、……ふぁ…」

苦しいと訴えるように俺の制服の裾を引っ張る東月の瞳から涙が流れ、漸く俺は唇を離す。
ゆっくりと切れていく銀色の糸が名残惜しさを駆り立てた。

「はぁ…、はっ、み…ゃじ…くんっ……」

「すまない…」

東月は力が抜けたのか俺に体を預ける。
その瞳を濡らす涙を指で拭い去り、その体を抱きしめながら俺は先刻の事を思い出した。





帰り支度を終え外に出ると、部室の側で俺を待っていた東月と寮に向け共に歩き出す。

「今日で夏が終わりなんだって」

歩き始めると同時に東月がそう言った。

正直、この熱さの中では部活に身が入らない。
他の部員だって集中力が落ちて矢が的から外れる事が多くなって来ている。

だからこそ東月の与えてくれた情報は俺にとって願ってもなかった。

「それは本当か?」

「うん。今日テレビで何度も言ってたから…」

向けられる微笑みにどこかいつもと違う引っかかる物を感じた。
俺の気のせいかもしれないが、確認しておくに越したことはない。

「…寂しそうだな」

東月は俺には気持ちを隠さない。
恋人同士になって、それはお互いの中で暗黙のルールの様なものとなっていた。

「そうだね…、寂しいんだと思う」

夏の青空を思わす空色の瞳を揺らす東月は、最初こそ戸惑いがちだったが迷い無く答えた。
それだけでは答えが解らず、俺が眉間のしわを寄せたのに気付いた東月は苦笑する。

だってね…。と東月はその理由を言いづらそうに視線を泳がすが、少ししてから笑いながら言った。


「大会に向けて頑張る宮地君って…凄く格好良かったから」


そう言って顔を赤くして照れる東月を、俺は部室の壁に押し付け唇に触れた。





夏の終わりに、君と最後のキスをしよう――





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「夏が終わる」ってテレビで言ってたので、Summerのキャラで誰か書きたかっただけです。
文章力が欲しい・・・。




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