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□第3のプロポーズ(11×07)
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『龍兄はいま何してるのぉ?』


「む…今か、今は学校から出された課題をやっている」

『"かだい"って?』

年の離れた弟に対し、つい同級生と同じ様に話してしまったことを申し訳なく思いながら、相手に分かりやすい答えを探す。

「宿題と同じだ。お前も学校から出ているだろう」

『うんっ、さっすが龍兄!』

相手は理解してくれた様で、向こうからは明るい声が聞こえてくる。
ただその声は盛大で周囲に漏れていたらしい。



「ふふっ」


後ろから聞こえてきた含み笑いに視線を向ければ笑った本人はそれに気付き、こちらに微笑む。

「……東月、」

音にはせず、唇の動きだけで俺に伝えてきたのは短く"ごめんね"の一言。

『龍兄?』

そんな東月の振る舞いに今直ぐにでもその唇を奪ってやりたくなるが、電話からの無邪気な声に押し留める。

「…すまない。それで何がいいんだ?」

『んーとねぇ…、でっかいケーキっ!』

数日後に控えた誕生日のリクエストにケーキだなんてまるで俺の小さい頃を思い出させる返答に出来ることなら俺が最も上手いと認めるケーキを食べさせてやりたい。
だが夏休みは部活があって帰る予定もまだつかないのでケーキは俺が用意してやることは出来ない。

「それはちゃんと母さん達が買って来るから安心しろ。他には何かないのか?」

うーん。と何度か悩んだ後、ひらめいた様に声が跳びはねる。

『それじゃっ、サッカーボールが良い!あたらしく出たやつ!!』

おそらく最近話題になっていた新しい柄のサッカーボールだろう。
サッカー部であった俺のボールを家で見つけて弟が興味を持ったという話は兄から聞いていた。

「わかった。それまでちゃんと母さん達の言うことを聞くんだぞ」

『はぁ〜い!』

そう言うと弟は本当に分かっているのか、と心配になるくらい無邪気な声で返事をした。

『じゃあ龍兄バイバーイ!』

「あぁ」



電話を切って体の向きを戻せば東月はとても面白そうに俺を見ていた。

「電話、もういいの?」

「あぁ。すまなかったな」

東月と俺の部屋で机を挟んで向かい合って夏休みの課題をしていたら俺の電話が鳴った。
内容はもうすぐ年の離れた弟が迎える誕生日のプレゼントについてだった。

しかし東月は全く怒っていないと言わんばかりに優しく微笑む。

「俺は全然構わないよ。それより虎牙君だっけ、可愛いね」

「む…、そうか?」

「うん。とっても可愛いよ」

そう言って首を小さく振り、もう一度笑う東月こそが可愛いと俺は思う。

「それに俺は兄弟いないから。まぁ…哉太やあいつが居たから寂しくはなかったけど、羨ましいなぁ〜。って」

東月の言葉とは裏腹に、それはどこか寂し気に聞こえてきた。
俺はそんな東月を繋ぎ止めたくて口を開いた。

「なら今度、家に遊びに来れば良いだろう」

「え…、いいの?」

東月の瞳が大きく開かれる。
白く透き通る頬も僅かに赤みを帯び始めていた。

「当然だろう。東月は俺の恋人なんだから遠慮しなくていい」

「っ…!!」

俺は当然のことを言っただけなのに目の前の東月は耳まで赤く染めて少し目を泳がせてから視線を絡めてきた。


「…ありがとう、宮地君」



やや上目気味で重なる東月のその視線に、やっぱり東月が一番だと俺は思う。








(なんならちゃんと両親にも恋人と紹介する…どうかしたか?)
(それは、止めて…)
(む…東月がそういうなら仕方ないな)
((宮地君ってどこまで本気なんだろう…))


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天然怖い&宮地家を把握しきれていないのに書いた自爆作品。
…弟さんは小学生低学年位ですよね。

11.09/01



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