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□アイスベリー(11×07)
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夏もそろそろ引きはじめる時期になったというのに、いまだ外は蒸し暑さが残っていて歩く気にもならない。
久しぶりの休日も東月の部屋で過ごす事にした。


「ねぇ宮地君、かき氷食べたくない?」


見ていたテレビがCMに入ったと同時に東月がいきなりこんなことを聞いてきた。


その顔が期待した目で俺を見つめて、まるで子供に欲しい物が無いか尋ねる母親の様だな。なんて思い、少し変な感じだ。

「む…、そうだな。この暑さなら欲しいな」

だが、そんな東月の気持ちを俺は無下にしたりはしない。
これも立派な東月の甘えの一つだと知っているから。


「東月、」

それこそ母親よりも愛おしい気持ちを込めて名前を呼べば、東月もしっかりと俺に視線を向けてくれる。

「ミルクも多めで頼む」

他の人なら同じ事を言うと一度では意味を理解しかねるかもしれないが、東月は初めから俺がそう頼むのを分かっていたのか、ふふっ。と笑いだす。

「まかせて」

その顔がほんのりと赤くなっていたから、味はイチゴミルクなんていいな。なんて頭の隅で思った。

立ち上がって台所に向けて歩き出す東月が数歩進んだ所で立ち止まった。

「宮地君…イチゴ味とか好き?」

少しだけ振り向いて首を傾け尋ねて来る仕草が可愛かったのはこの際置いておき、たった今俺が考えていた事を読み取った東月に内心驚いた。

「好きだが…」

それだけ聞くと東月は台所に姿を消した。
戻って来る東月の手に抱かれている物に俺は更に驚く事になる。

「これはね、宮地君の為に用意したんだよ」

手に持った瓶はピンクよりも赤みがかった色をして貼られたラベルには大きく"イチゴ"という文字がかかれていた。
だからね。と小さな声が続ける。


「このシロップも…俺も、全部…宮地君のだよ」


俺は勢いよく立ち上がりシロップに負けないくらい顔を染めた東月を強く抱きしめた。



外の暑さも東月と、東月の作ったかき氷と、俺の為に用意されたイチゴのシロップがあれば苦にもならないだろう。





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珍しく少しだけ積極的な蟹さん。

リダは味なら断然イチゴ、色的にテンションが上がるのはブルーハワイです。


11.08/30


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