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□今更ながら。(12×02)
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面倒事が好きな人なんてそうは居ない――。







意外にも距離がある水瓶座寮を訪れていつものように部屋を覗いてみれば、予想通り発明に明け暮れている従兄弟の姿を確認する。
昔から暇さえあれば発明しかしてない翼は"変わり者"と思われたって仕方ない。

正直いえば、用と言う用は最初から無かったのだけれど、来たからには伝えてやろうと思う。

「翼、今日は何の日だと思う?」

既に開いているドアを軽くノックしてから声音良くその人物に投げかけてみる。
が、返答は返って来ない。
聞こえてくるのはガチャガチャと物同士がぶつかり合う音だけ。
そもそも翼には届いていないと言った方が正しい訳で、こっちの存在に気付きもしてない。

「……はぁ、聞いてる!?」

もはや、こんな事初めてじゃないから怒る事もないけれど僕としては面白くはない。
ちょうど足元に転がっていた発明品だろう人形を掴み、翼に向かって投げた。

「ぬわっ!?」

頭に当たるように狙った人形はその狙いがはずれる事なく見事に当たり、翼から間抜けな声が零れた。

「あぁっ!ネジどこ行ったー!?」

「自業自得だよ」

ついでに持っていたネジも驚いた翼の手から消えたようで。
慌てて探している翼は余計に部屋が汚くなっていってるのには気付いてない。
あ、今動かしたプリントで隠れたな。なんてぼんやりと心の中で思った。

「ぬぅ…、いきなり何なんだ梓〜!」

探すのを諦めて、ようやく振り返ったと思ったら文句を言って来るけど気にしない。
だって気付かない翼が悪い。

「僕はさっき一度呼んだけどね」

「ぬ、そうなのか?」

まぁ、気付かないだろうってのも分かってたんだけど。

「もう一度言うけど…今日が何の日か知ってる?」

「今日?…誰かの誕生日か?」


でもそらそらの誕生日はまだだぬ〜。と首を傾ける翼の姿は本当に体を大きくした子供。
あの時から変わってないなぁ。と嬉しくも悲しくもなる。


「…今日はね、9月6日で"苦労の日"だって」

「ホントだっ、苦労の日なのだ!」

すっきりしたのか、ぬははと笑いパッと明るい顔をしたと思うと再び疑問の顔を浮かべる。

「その苦労の日がどうかしたのか?」

待っていた会話がようやく成り立ち、僕の気分も回復する。

「高校に入ってから僕は翼のせいでいっつも苦労してるんだけど?」

「ぬ?」

「いつも発明しては爆発させたり、僕に関する発明品は僕の近くで爆発するし」

満面の笑みの僕とは別に、聞いている翼の顔が少しずつ気まずそうな笑みに変わっていくのを見物する。
やがて耐え切れなくなったのか口を開いた。

「な、なんか爆発ばっかりなのだ…」

「そうだよ。少しは自覚しろ翼」

「ぬぬぬぅ…」

事実、この時ドアをノックした僕の手には先日の翼の発明品、確か…いや、もう名前はこの際どうでもいいか。
とにかくその発明品が爆発して出来た、かすり傷とはいえ怪我があった。
いつもなら、自分の発明は凄いんだ!と翼は返すのに今日は僕の先に振った話の意図も汲み取ったのか、そのまま口ごもった。




「そのかわり、」




そんな、恐らく反省している翼の姿を見て僕は続ける。
最初から用意していた言葉。







「翼とずっと一緒に居てあげるから」







間の抜けた顔の翼は言葉の意味をきっと今すぐには理解出来てないから、自分の中で誓ってやる。







面倒事にあえて関わる僕も相当な変わり者じゃないか。








――――――――――――――――――
初の別CP。12×02となりました。

1年生組は微笑ましいですね+(´▽`
書いて途中放置だったので完成させてみました←


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