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惜しいことをしたな、詩織ちゃんって結構かわいかった。


伊勢は4時間目の授業終了間際になって、朝の出来事をふと思い出した。


Bクラスのかわいい系女子で、引っ込み思案だけど、結構好み。

目立たない性格と雰囲気だから、まだ目をつけている人はいないと思っていた。


あんな小さなライバルがいるとは思わなかったんだよな。


色白で、黒髪のあのイロドリ ヨウマという男。

目がちょっと大きめだけど、だいたい不満そうな顔をしているか思案顔だから目を細めているように見える。

目は悪くないみたいだけど。


袖をひっぱられちゃってさ、なんかずるかったよな。

あれは俺の役目なのに。


時計の針とにらめっこする時間帯になってきた。

大きな体の背を丸めて、机に軽く伏せる。

体育の時間があったから、ただでさえ眠い授業がまた一段と眠く感じる。


今日は誰と帰ろうかな、その前にごはん一緒する子……今日は誰の番だったっけな。

ももちゃん先輩は昨日だったから違うよな。F組の花梨ちゃんは明日にしようかな。

――っていうか今日は、楓ちゃんところに顔出ししたほうがいいよな。


ちゃんと渡すように!と言われた使命は果たしましたと報告しに行かなくてはならない。

そんな義務はないのだけれど、そうしたほうが一層仲よくしてもらえる気がしていた。


楓ちゃんならごはんとかつまませてくれそうだし、購買寄ったらすぐ行こう。



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