長編 書き場

□危険
1ページ/1ページ




「ぎゃああああああああ」
「うわああああああああああ」

四方八方から叫び声が聞こえる。
このヌメーレ湿原には湿地に入る人間を捕食する生物たちが、ありとあらゆる手段で騙そうと襲ってくる。
カメリアは上手いことすべて交わして順調にすすんでいた。

「!」

突然湿原の生物ではない嫌な雰囲気を感じて足を止める。
咄嗟に草むらに身を隠し目を凝らすと、ヒソカと長身のスーツを着たサングラスの男が対峙していた。

「(流石にヒソカ相手に1人は無理だって)」

「うおおおおおおおおお!」

手に持っていた武器を振りかぶってヒソカに猪突猛進、しかし簡単にヒソカはそれを避けてサングラスの男目掛けて手刀を入れようとし...

「!」

気づいたら飛び出していた。
ヒソカの頬目掛けて膝蹴りを繰り出したのだ。

「あ、しまっ...」

即座に足を掴まれ投げ飛ばされるが、何とか体制を立て直して着地した。

「へぇ・・・♣」

ヒソカがのそりとカメリアの方へ足を一歩踏み出すと先ほど膝蹴りされた頬と逆の頬に赤い玉のようなものがすごい勢いで飛んできた。

「!?さっきの君!」
「やるねボウヤ♣」

先ほど会話した黒髪の少年が持っていた釣竿で攻撃したようだ。

「お姉さんレオリオを守ってくれてありがとう!」
「すまん!助かった!」
「まだ安心するのは早いよ!相手はつ..」

その瞬間足蹴りが飛んでくるのが見え身体を捻りギリギリで避け、間合いを取った。

「君、なかなかいい動きだね♥」
「(念が使えない今じゃガードしようにも身体がもたないし...どうしよう...)」

ヒソカがまたこちらに間合いを詰めようと走ると今度は黒髪の少年がまた釣竿を振る。
しかし、今度はどの攻撃も簡単に避けられ、一瞬で背後に回り首を掴んだ。

「ぐっ...」
「少年を放せ!」
「!♦」

カメリアは少年を掴んだ手に踵落としを繰り出し横腹に蹴りを入れるが、やはりその程度ではほとんどダメージはないが少年からヒソカを放すことはできた。

「あ、ありがとう!」
「レオリオさん...でしたっけ!少年と一緒に早く逃げて!」
「逃げるってお前は!」
「わたしも後で逃げますから...」

2人に話しかけるのにヒソカに背を向けていたらいつのまにか背後にもう来ていて手刀が来るのが分かった。しかし、咄嗟で身体がついて行かずそのまま喰らってしまった。

「!!!」

そのままカメリアは気を失って倒れこんだ。

「お姉さん!!」

少年がカメリアの元へ駆けようと一歩を踏み出すとヒソカは正面に立った。膝を折り、目線を合わせると満面の笑みを浮かべる。

「大丈夫、殺しちゃいないよ♥あの子は合格だからね♣」
「!」
「んん〜、君とそこの君も合格♥いいハンターになりなよ♦」

そう言うと地面に突っ伏して倒れるカメリアの方に向かい俵担ぎして少年とレオリオに背を向け濃い霧の中を歩いていった。



「うぅ....」
「おはよう♠思ってたよりもおきるの早いね♦」
「?!」

意識が戻って唸り声を出すとカメリアはヒソカに担がれていることを即座に把握した。

「えっ?!な、なんで私担がれてるの?!」
「君は合格だからね♦二次試験会場まで運んであげてたんだよ♠」
「合格?え?あ、ありがとうございます?」
「君を気絶させたのはボクなのにお礼をいうなんて変な子だ♦」
「はっ!そういえば...お、降ろしてください!」
「ダーメ♥じっとしてて♦」

俵担ぎの格好はなんとも恥ずかしい気持ちになり早く降ろしてほしかったが、無駄に抵抗して攻撃されるのも怖かった上、二次試験会場の場所も今は把握できてなかったのでしぶしぶ大人しくすることにした。

「君は変わったオーラをしてるね♦」
「か、変わったオーラ?(念能力使えない状態だからかな)」
「んー♦普通の人間のようでそうでないような感じ♣」
「ちょっとよくわからないです」
「そっか〜♣」

実は念能力使えますなんて言ったらきっとヒソカは念能力での勝負を挑んでくるのではないか。
そうカメリアは察して、今の間だけはしらばっくれることにした。
それからは特に会話をすることもなくヒソカが走り続けると霧が晴れてきた。

「ついたよ♦」
「ありがとうございます」

そういってようやく降ろしてもらえた。
なんとなくお礼を言って先を見る。二次試験会場であろう門の正面にすでに受験生が何人か待っていた。
カメリアはヒソカから距離を取るようにその場から離れ木の傍で腰掛けた。
すると銀髪の男の子がカメリアを見つけて近くまで小走りしてきた。

「ねぇあんた...」
「あ、君は...」
「あぁ名前まだ言ってなかったな。俺キルア。あのさ、ゴン見なかった?」
「キルアくんね。私はカメリア。ゴンくんってあの黒髪の男の子だよね?途中まで一緒だったんだけど私気絶しててヒソカにここまで運ばれたからわからないの。ごめんね...」

申し訳ないと顔をうつむかせるとキルアは驚いた表情で詰め寄った。

「はぁ?!ヒソカに?!あいつと仲いいのか?」
「えっ?いやいやそんなわけないでしょ!私もよくわからないのよ...」

まさか仲間と思われると思ってなく両手をブンブンと振って否定した。

「お、おう....でも参ったな。そろそろ二次試験始まりそうなんだよね」
「えっ....そんな...」
「おーい!キルア〜!!あ!お姉さんも!無事でよかった〜!」

心配した途端ゴンの大きな声が聞こえ振り向くと片手を大きく振りながらこちらに向かっていた。その少し後ろにはレオリオと金髪の子も一緒にいた。

「ヒソカに連れて行かれちゃったから心配したよ!なんともない?」
「うん、びっくりしたけど無傷だよ。ありがとう」
「まだ自己紹介してなかったね!俺はゴン!よろしくね!」
「俺はレオリオだ。さっきは助かった。ありがとうな!」
「私はクラピカ。二人を助けてくれてありがとう」
「私はカメリア。大丈夫だよ、私が勝手にやったことだし、無傷だから気にしないで」

ハンター試験がはじまってから不穏な雰囲気が続いていたためハンター志望者はみな怖い人だと思っていたが、この4人と話してみるととても穏やかでカメリアの緊張もすこし解れた。

離れたところでヒソカは5人をずっとみていた。







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ