長編 書き場

□感興
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「44番 ヒソカ三次試験通過第二号!所要時間6時間17分!」
「!♦」

1階にたどり着いたときにはすでに1人クリアしている人がいたことにヒソカはすこしだけ驚いた。
その人物は横になっているようでコツコツとヒールの音を立てて近づくが起き上がる様子がない。しかし、寝ていてもオーラが安定している様子を感じイルミと自分以外にはいなかったはずの念能力者がいたことにヒソカはだんだん興奮し、どんな受験生か顔を覗き込んだ。

「!♦この子.....♠」

ヌメーレ湿原の身体能力以外は特に興味をもつこともなくそれまで一般人としか思っていなかったカメリアだった。

「へぇ...♠」

ゾクゾクとしたヒソカはその興奮をグっと抑えて横になっているカメリアの隣に腰掛け寝顔をじっくりと眺める。

「ん〜.....なんかこの子何処かで......♦」

カメリアに違和感を感じたヒソカはうーんと考え込んだがすぐにどうでもいいかと考えるのをやめた。

「ん.....」
「おはよう♥」

目が覚めたカメリアはふと声がしたほうを向くとすぐ近くにはヒソカが....あれ?この状況どっかで...

「わあああああああ?!ヒソカさんなんで!!!」
「君がかわいい顔でぐっすり寝ていたからそろそろ襲おうかと思ってたよ♥」
「なに冗談言ってるんですかもう!!」
「ボクは君に興味が湧いてきた♦そしてここには今ボクと君しかいない♦後は分かるね?♥」
「はっはい?!///ちょ、わ、わかりません!!」

目が覚めた途端真顔で後ろの壁に両手をついて逃げ場を作らないよう迫ってくるヒソカにカメリアは状況がいまいち飲み込めず顔を真っ赤にするしかなかった。
そのとき、ゴゴゴゴと音を立てて扉が開いた。

「あれ、なにしてるの」
「もうイルミ〜♦タイミング悪いよ〜♣」

3番目にクリアしたギタラクル兼イルミがいいタイミングで来てくれた。
今クリアしているのがカメリアとヒソカだけだと把握するとイルミは顔の針を全部抜いて元の顔に戻った。いつ見ても気持ち悪い。

「あ、ごめんごめんまさかヒソカが一般人にきょうm...」
「♦」
「へっ?な、なに?」

相変わらず無表情で軽く謝ったと思ったらピタッと止まってカメリアの方をジッと見た。ヒソカも真剣な顔つきになった。

「あんた、念使えたの」
「あっ....」
「今まであまりにも一般人並のオーラだったから全然気づかなかった♦それよりも一度念を会得したら絶対身体が覚えてるはずなのに変だよね♠」
「えっと....それは.....」
「なるほどね。ヒソカがすこし気になっていたのは間違ってなかったみたいだね」
「そうだね〜♥」
「えっ?なんの話ですか?」

昨日はあんなに冷たかったイルミが今日はすこしやわらかくなったような気がする。

「ところで君はボクたちの名前知ってるけどボクは君の名前を知らないんだけど♦」
「あ、そういえば...カメリアです。」
「カメリア........??♠」
「へっ?」

満面の笑みだったヒソカが名前を聞くと急に真顔になって一瞬恐怖で心臓がドキッとしたが、すぐにまた笑顔に戻った。

「ボクは君と戦いたい♥」
「.......はい?」
「でたよ。戦闘狂」

先程の表情はなんだったのか気になったが、ジリジリと近づかれあのニヒルな笑顔がどんどん近づいてきたのが怖くてすこし後ずさってしまった。イルミはやれやれと呆れた。

「遠慮します」
「えーーーー♣」
「だってヒソカさん怖いもん」
「ってよりは気持ち悪いよね」
「ひどいなぁ〜♣戦ってくれないなら戦ってくれるまで追いかけちゃうよ?♥」
「ヒッ」

更に近づいてくるヒソカに冷や汗をかいて後ずさる。
イルミは誰かがそろそろクリアしてくると思いまた顔に針を刺してギタラクルの姿に戻った。

それから残り1日となって合格者も次々現れるが、まだゴンたちの姿はない。
唯一ハンター試験で接した人たちがここで全員落ちてしまっては寂しいのでそわそわする。

「ゴンたちを気にしているのかい?♦」
「まぁ...あの子たちくらいしか会話する人もいないからここで合格してくれなかったら寂しいですし...」
「ボクがいるじゃないか♣」
「えっヒソカさん話し相手になってくれるんですか?」
「カメリアがボクと戦ってくれるなら♥」
「じゃあいいです....」
「冗談だよ♠」

ヒソカは相変わらずカメリアの隣に腰掛けている。合格した受験生たちは二人から離れたところに座りチラチラと目を配る者もいる。

「うぅ...ヒソカさん...周りの目が痛いです...」
「それがどうしたの?♦」
「いや...なんかみんな怖がってますよ...」
「気にすることないさ♣それより暇だろう?トランプしよう♦」
「えっちょ、なんでそうなるんですか...って拒否権なしですか!」

おもむろにトランプを取り出し手札を配って手渡してきたが、たしかに暇だったのでしぶしぶトランプ相手をすることにした。
目を配らせていた受験生たちはヒソヒソと会話をしていた。

「おい、あの404番ヒソカに脅されてるのか?」
「さぁ...怯えてるようにも見えるが一緒にトランプしはじめたぞ」
「2次試験までは一緒にいなかったよな?ヒソカのやつずっとあいつの傍にいるしどうなってるんだ?」
「カタカタカタカタカタ」

それから色んなトランプゲームをやるが全敗。それに2人ではあまりできることもなくまた次の試験に向けて仮眠をとることにした。

そして三次試験残り1分。

「ゴンくんキルアくん....」

間に合わない。そう思った瞬間。
ゴゴゴゴゴゴゴ

「ケツいてーー!」
「短くて簡単な道が滑り台になってるとは思わなかったよ」
「ゴンくん!キルアくん!クラピカくん!」

同時に3人の姿が現れた。そしてその後ろから押し合いながら現れたトンパという人とレオリオさんの姿が。

「カメリア!試験クリアしてたんだね!」
「へーやるじゃん」
「よかった。もう間に合わないかと思ったよ」
「タイムアップ!第三次試験通過人数25名!」

長い72時間、主にヒソカとの待機時間が終わった。





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