長編 書き場

□猟人
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「これからクジを引いてもらう」

三次試験が終わり四次試験が始まる前に準備としてクジを引くようだ。
中には受験生の番号が入っているようで引いた番号が自分が狩る対象の人間らしい。
自分の番号のプレートと引いた番号のプレートが各3点、それ以外のプレートが1点、合計6点集めることが4次試験の内容だ。

「それではタワーを脱出した順にクジを引いてもらおう」

カメリアが前に出てクジを引くと多くの受験生が驚きザワザワとした。
ゴン、キルア、クラピカ、レオリオも例外ではない。

「80番...」

受験生らが次々と自分のプレートを隠す中、たまたま目に止まったプレート...スナイパーらしき女性が80番のプレートを隠す瞬間を見た。

「(ラッキー。あの人が標的か....)」
「「カメリア!」」

ゴンとキルアに呼びかけられた。
引いたクジのプレートはポケットにしまって二人の方を見る。

「あ、ゴン、キルア!」
「あれ、なんか雰囲気変わった?」
「たしかに...」
「へっ!?そ、そんなことないよ」
「それより!一番にクリアしてたんだね!すごいや!」
「ふーん。お前見かけによらずやり手だったのかよ。騙されたぜ」
「たまたま私のルートが簡単だっただけだと思うよ」
「そんなこと言って本当はなにか隠してんじゃねぇの?」
「えっ!そうなの?!」
「買いかぶりすぎだよ」

念が戻ったせいで少しオーラが変わったのを察する二人は鋭い。気づかれるとは思っていなかったので下手なごまかし方にはなったがあまり気にはしていないようで助かった。
少しだけ会話をすると二人の引く番になり呼ばれたのでクジを引きに向かった。

「んー残念♠」
「えっ?」

カメリアの元へ向かいながら残念そうには見えない不敵な笑みを浮かべていた。

「ボクの引いた番号がカメリアだったらよかったのにと思ってね♣」
「ってことは違ったんですね...よかったぁ...」

どうやら狩る相手がカメリアじゃなかったことに残念そうにしていたのだ。本当に安心した。ヒソカがもし自分の番号を引かれていたと思うと殺されてるんじゃないかとゾッとした。

「でも3点じゃなくても1点の価値はあるし...ね?♦」
「えっっっ????」

とてもいやな言葉を残しクツクツと笑い声を漏らしながら四次試験へと向かう船に乗り込んでいった。
カメリアは顔を真っ青にしながら船に乗り込む呼びかけに反応してフラフラと乗った。

「えっ...嫌な予感しかしないんだけど...」
「?カメリア顔青いぜ?大丈夫か?」
「あぁ...キルア...短い間だったけど楽しかったよ」
「はぁ?何言ってんだ?」

そのあとカメリアは四次試験会場の島、ゼビル島に着くまでずっと上の空だった。




「それでは三次試験通過時間の早い人から下船していただきます!一人が上陸してから2分後に次の人がスタートする形式をとります!滞在時間はちょうど1週間!」
「い、一週間?!」
「それでは1番の方スタート!」
「は、はい」

スタートの合図に反射的に体が動き下船した。
とりあえずみんなが見えなくなるくらいまで走った。

「2分後にはヒソカさんが下船するから見つかるとまずい...」

船に乗る前の発言からきっとヒソカは狩る者の番号など無視して襲ってくるにちがいない。
どこまで撒けるかはわからないが全力で絶をし、気配を絶つ。
自分の標的を観察しないといけないのになんというやっかいごとが増えたとため息をついた。


「うーん♦やはり気配は絶ってるか♣」

2分後、ヒソカも下船し森の奥に歩いていたがカメリアの気配が一切感じられなかった。

「まずはてきとーに3人狩るか♦」

カメリアを探すことはせず、ゆっくり四次試験を楽しむことにした。

それから数時間...

「やっぱり絶をしたまま動くのも大変だな...かといって解除してヒソカさんに追いかけられても怖いし...1週間神経削れそうだ...」

絶の状態のまま森を歩き標的を探していたが会場が島全体ということもあり人一人すらなかなか見つからない。
1週間という長期間にこの先不安も抱いていると数時間ぶりの人を見つけた。

「あ、あれは....」

とても見覚えのある服装と目立つ顔...

「イルミさん...と奥に一人...」

イルミを狙っているのであろう茂みに隠れて様子を伺ってる女の受験生の姿も見えた。
凝らして見るとサングラスに狩猟銃...
カメリアの標的の80番の女性だ!

「80番の人!1日目で見つけれたのはラッキー!」

ちょうど絶の状態だったのでまだ二人ともこちらに気づいてない様子だった。
きっとイルミは80番の女性には気づいて返り討ちにしようと思っているだろうが標的だから譲るわけにはいかないと近づいていった。

「プレートいただきますね」

真後ろに立っても気づかなかったスナイパーはカメリアの声にとても驚き振り返ろうとしたがそれよりも先に手刀を入れられ静かに倒れた。

「よし...6点!あとは死守に専念だな」
「なんだカメリアか」
「イルミさんいつの間に」
「今はギタラクルって言ったでしょ」
「あ、すみません」

100m程離れていたイルミがいつの間にか間近まで来ていた。周りにだれもいないことを確認して顔の針を抜いて素顔に戻った。

「やっぱりそれ結構しんどいんですね〜」
「そうなんだよねー。ところで、なんでそんなに気配絶ってるの」
「いえ...ヒソカさんに不吉な発言されて...」
「あーヒソカカメリアと戦いたいみたいだったしね」
「ところでソイツカメリアの標的?」
「そうです、横取りしたみたいですみません」
「別にいいよ。そいつ俺が標的だったみたいなだけで俺は用ないし」
「それならよかったです」

80番のプレートをポケットに入れこれからどうしようか考えてるとイルミが手を顎に当て首を横に傾けた。ちょっとかわいい。

「どうしたんですか?」
「カメリアっていくつ?」
「え??」

突然の年齢の質問に呆然とした。なぜ急に年齢を...

「ちょっと気になっただけ。嫌なら答えなくてもいいよ」
「24です。隠してもないので大丈夫ですよ」
「・・・・・・・」
「なんですかその無言は...」

年齢を聞いた途端イルミは真顔に棒立ちになった。いつも無表情ではあるが今の表情は本当に無表情の中でもさらに真顔だ。

「ほんとに?」
「嘘ついてもしょうがないでしょう」
「俺も24」
「・・・・えぇぇぇ?!?!?」

今まで敬語で会話していた相手がまさか自分と同じ歳とカミングアウトされたことに驚きを隠せず思わず大声を出してしまった。

「ヒソカにバレるよ?」
「イルミさんが驚かすから...完全に年上だと思ってましたすみません」
「俺もまさか同じとは思ってなかったよ」

今まで殺すと脅されたりと怖い人だと思っていたが歳が同じというだけで距離感が縮んだ気がした。

「いや〜奇遇ですね。まさかイルミさんが同い年なんて...」
「それどうにかならないの?」
「え?」
「イルミ"さん"っていうのと敬語。」
「じゃあ...イルミ?」
「うん」

数日前までは殺すなんて言ってた人が今こうして呼び捨てにして無表情ではあるが確実に喜んでいる。まったく無縁そうな人とすこし仲良くなれた気がしてカメリアは嬉しくなってニッコリと笑った。

「じゃ、俺標的殺りにいくから」
「気をつけてね」
「それはこっちのセリフだけどね。ヒソカから逃げ切れたら褒めてあげるよ」
「う...がんばる....」

イルミは満足そうにしてまた顔に針をさしてギタラクルの姿に戻ってあっという間に見えなくなってしまった。

「まだ私への標的もいるし6日間気を抜けないな...」

それから数日気配を絶つ生活をすごしていった。






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