長編 書き場
□逸出
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四次試験最終日。
驚くことにここまでヒソカと接触することもなくときが過ぎた。
常に絶の状態であったせいか、カメリアのプレートを狙う人物とも接触することなく神経はかなり使ったが何事もなく時間だけが過ぎていた。
「あと2時間...」
「みーつけた♥」
「?!」
残り時間も短くなったところで一瞬気が抜けた瞬間後ろからヒソカの声がした。
ガバッと振り返ると数日振りの満面の笑みのヒソカが立っていた。
「よく見つけましたね...」
「さすがに探すのに手こずっちゃったよ♦」
「!プレート...取られたんですか?」
ヒソカの胸についているプレート番号が44ではなく384に代わっていた。
「うん♠ゴンにまんまと取られちゃった♠」
「ゴンくんが...?!」
「あぁ....あの子は強くなる...♠」
「!」
ゴンとのやりとりを思い出したのかヒソカは興奮状態になり嫌な殺気を滲み出していた。
「おっと♠いけないいけない...♣」
「そ、それで私になにか用ですか?」
「やだな〜♣わかってるでしょ?じゃなきゃカメリアはこの1週間絶で過ごす意味がないじゃないか♠」
「でもヒソカさんプレート全部そろってるんですよね?」
「うん♠」
「私も6点揃ってます。戦う意味はないですよ?」
「.......うーん。確かに♠」
思ったより納得してるヒソカにカメリアは一瞬ホッとしそうになるが。
「でもボクはカメリアと戦いたい♦」
「めちゃくちゃじゃないですか!!」
「さぁ、ヤろう♥」
「ヒッッ」
含みのある言葉にゾッとしヒソカが飛び掛ろうとしたとき、カメリアは覚悟を決めた。
「こうなったら残り時間は逃げる!!!」
手の内もわからなければまだ実戦経験もヒソカより断然劣ることを考えれば絶対に適わないと思い残り2時間ヒソカから逃げることに専念することにした。
「鬼ごっこかい?♦それもいいね♠」
「(走るだけじゃたぶん追いつかれる...!)」
走りながらカメリアはイルミが顔に刺している針を思い出し"漆黒の凶器(ブラックキラー)"で砂鉄の針を具現化させる。今は地面が土なお陰で砂鉄にも困らず大量生産ができる。そして具現化させた針を次々に後ろに向かって放り投げた。
「!♠」
ヒソカはトランプを取りだし周でトランプにオーラを纏い飛んでくる針を跳ね返す。
カメリアは針を大量に投げた後、即座に薙刀を具現化させ、踵を返し勢いよく迫るヒソカに大振りする。
急な直接攻撃にヒソカは態勢を崩し避けるとカメリアはそのまま来た方向にまた逃げ去っていく。
「クックック♣いいよカメリア...♠すごくいい...♣」
その後一旦ヒソカを撒くことに成功したカメリアは滝がある近くの茂みに隠れて呼吸と整える。それから周りの様子を伺っていた。
「ハァ...なんでこんな面倒な目に...」
大きな滝の音に乗じてこのまま気配を消せないかと考えたが近い場所にヒソカの姿が見えた。
「カメリア。出ておいでよ♦」
「嘘...もう見つかった?!」
しかしヒソカがこちらに近づいてくる様子はない。もしかしてまだ見つかってないのでは?と思った。しかしなにか嫌な予感がした。
「!もしかして!」
「来ないなら無理にでも来てもらおうかな?♦」
「!!」
嫌な予感がし目にオーラを集中させると自分の左腕に一本の糸がついていた。気づいたときには遅くすごい勢いで腕が引っ張られ、身体が宙に浮く。
「ひゃあっ!!」
「みーつけた♣」
腕についていた糸はヒソカの手とつながっている。ヒソカの念能力のようだ。
このままだとヒソカと接触してしまう。それだけは避けたいカメリアは右手でダガーを具現化し念の糸を切断する。
しかし、態勢が悪かったせいでそのまま真下へ落下...
「あっ♦」
「きゃああああ」
ちょうど真下は水場になっておりカメリアは水の中へと落ちてしまった。
ハンター試験2度目の水没である。
『ただ今をもちまして第四次試験は終了となります。受験生のみなさんすみやかにスタート地点へお戻りください』
「・・・・」
「・・・・♦」
水没と同時に四次試験終了のアナウンスが聞こえてきた。
カメリアは呆然とし、ヒソカは頬に冷や汗を垂らしていた。
「大丈夫?♦」
「それ2回目です....」
ヒソカが片手を差し出してきたので手を掴み起き上がる。
アナウンスと同時にこちらも自然と休戦状態となる。
「いった...」
「あー捻っちゃった?♣」
水場に落ちたとは言えど浅く態勢も悪いまま落ちたので足を捻らせてしまったようだ。
スタート地点に戻るまでの猶予は1時間。服を乾かす暇もなければこの足じゃ走るのも辛い。
これじゃあ間に合わないとカメリアが落ち込む。
「んー♣」
「えっ?!ちょっと?!」
ヒソカは突然一次試験と同様にカメリアを肩に担いだ。
「運んであげる♦」
「えっ?!急になんですか?!」
「このままカメリアが落ちるのも嫌だし♦ここで貸しつくるからまた遊ぼう♠」
「全身濡れてるんですけど...」
「それは我慢して♥」
「うぅ...」
大人しくスタート地点まで運ばれることになった。到着するとすでに2人以外の合格者はもう着いていたようで全身濡れたカメリアをヒソカが担いでいるという異様な光景にギタラクル以外の全員が目を点にしていた。
「カメリア...??どうして濡れてるの?」
「なんでヒソカに担がれてんだ?」
「う....なにも聞かないで.....」
ゴンとキルアの質問攻めに屈辱しかないカメリアは両手で顔を覆って隠した。
「とりあえずこれでも羽織ってろ風邪引くぞ」
「シャワールームを貸してもらうように言ってこよう」
飛行船にあったブランケットをレオリオが羽織らせてくれ、クラピカは試験管にシャワーを貸してもらうよう伝えに向かってくれた。二人とも本当にありがとう。
最終日にめちゃくちゃな目にあったカメリアであった。