長編 書き場

□風邪
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『えー、これより面談を行います』
「面談?」

シャワールームを借り、浴び終えたところ飛行船のアナウンスでネテロ会長と面談を一人ずつ呼び出されて行うようだ。

『受験番号402番の方おこしください』
「えっ?!わたし?!」

髪を乾かしている途中だったカメリアは半乾きの状態のまま慌てて指定の応接室へと向かった。

「まぁ座りなされ」
「は、はい...」

あぐらをかいて座るネテロ会長の貫禄に圧倒されそうになりつつ目の前に置かれている座布団に座った。

「まず、なぜハンターになりたいのかな?」
「えっ...」

なぜハンターになりたいか。その質問はカメリアを困らせた。もともとハンターの存在も知らず興味本位だけで参加したため特別な感情などなにもなかった。

「本当は試験を受けるまでハンターについて知らなかったんです」
「しかし、お主は念をすでに会得してるようじゃのぉ」
「私、子供の頃の記憶がなくて覚えていたのは自分の念能力だけだったんです。周りも念を会得してる人はぽつぽつと居たので特に珍しいとも思わなかったですし。もとから親は居なかったみたいで厳しい環境で生活はしていましたが、今まで普通の人間として生きてたんです」
「ほぉそうかい。めずらしいのぉ」
「だから何故ハンターになりたいかって言われるとただの好奇心です」
「なるほど」

ネテロは特に語ることもなくただ相槌を打ち質問を続けた。

「ではおぬし以外の9人の中で一番注目しているのは?」
「99番と405番...2人ともまだ子供なのにすごい素質を持ってると思います」
「ふむ...では最後の質問じゃ。9人の中で今一番戦いたくないのは?」
「44番です...すでに一度戦いになったのですが...とても強くて怖いです...」
「そうかそうか」

ネテロは紙になにかを書きながらニコニコとしていた。


それから面談は終わり退出すると次は44番ヒソカが呼ばれていた。
全員の面談が終わると委員会が経営してるホテルに到着した。最終試験まで数日休暇が与えられるようで試験が終わるまで貸切になっているようだ。
カメリアは身体を癒すため個室に篭ることにした。

最終試験前夜。不運が訪れた。

「やばい...風邪ひいた。」

4次試験の最後に全身濡れたまま1時間ほどいたため風邪をひいてしまったようだ。寒気がすごくて頭もフラフラする。
次の日が最終試験なのにこれではまともに受けれる気がしない。
ここで"盗み喰い(アビリティハンター)"で身体を癒してもいいが明日念能力が使えなくなればヒソカかイルミになにかされることがあれば太刀打ちできなくなる。
かといってこのまま試験に挑めばどんな試験内容でもまともに受けれる自信はない。

「........ヒソカさんとイルミさんから狙われることがありませんように...."魔法美容師(マジカルエステ)"」

カメリアは風邪を治す方に専念することにした。

「ふぅ...やっぱり便利だこの能力...」

アレだけ頭がフラフラして立てないほどだったのがスッキリして寒気も吹っ飛んだ。
マジカルエステのお陰で疲労もすべてなくなり体調だけは万全になった。
そもそもこのマジカルエステは記憶がなくなる以前から使っていたようでいつどうやって手に入れたかは覚えてないが不思議とこの能力の名前と使用者名だけは覚えていた。

「いつも助かってます」

本人に届くわけではないが感謝の言葉を呟いて床に就いた。


そして最終試験日...

「最終試験は1対1のトーナメント形式で行う」

「その組み合わせはこうじゃ」
「シンプルなバトル....(ヒソカさんとイルミさんだけはやめて...)」

目の前に用意されたホワイトボードに布が被せられていてネテロ会長がその布を剥がす。

「?!」

そのトーナメントはとても不公平な組み合わせであった。

「さて、最終試験のクリア条件だがたった1勝で合格である」

どうやら逆トーナメントになっているようで負けた人が上にあがっていく方式のようだ。つまり、失格は1人。
そしてカメリアは右のブロック。ヒソカVSクラピカの負けた方と戦うことになるようだ。

「(ヒソカさんが負けるとは思えないけどクラピカくんと戦うのも嫌だな...)」

「それでは最終試験を開始する!第一試合ハンゾーVSゴン」
「ゴンくんがんばれー!」

ハンゾーとゴンの試合が開始された。
しかし、ハンゾーの圧倒的な強さにゴンは手も足も出ず一方的にやられる。だが、ゴンはいつまで経っても降参しないのだ。

「う、腕...折られた...?」

腕を折られてなお希望を失わないゴンの真っ直ぐさにハンゾーの方が先に折れて降参した。
最後に一発ハンゾーにパンチを喰らったゴンは気絶して医務班に運ばれていった。

「ゴンくんすごかった...」
「ああ、そうだな...」

カメリアのつぶやきにクラピカが反応してくれた。
今までこんなに自分の意思を強く持って曲げないことなんてなかったカメリアは素直にゴンのことを尊敬した。

「第2試合クラピカVSヒソカ!」
「クラピカくん...気をつけてね」
「ああ。ありがとう」

試験のルール上殺されることはないが先ほどのゴンの試合をみて安心はできないと思ったカメリアはクラピカの無事を祈った。
しかし、少しの攻防が続いた後ヒソカがクラピカに耳打ちをしヒソカが負けを宣言してしまった。

「へっ.....??」

ヒソカは負けを宣言するとそのままクラピカを素通りし、壁によりかかり腕を組んだ。途中カメリアを見て口元だけ笑ってた気がしたが気のせいでありたかった。
忌避していたことが起こってしまった。

次のハンゾー対ポックルの試合はあっけなく終わってしまいすぐにカメリアとヒソカの試合になってしまった。

よし、ここは降参して次にかけよう....カメリアは半ばあきらめていた。






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