長編 書き場

□強奪
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最終試験が終わり、カメリアは飛行船に乗ってずっと東へ向かっていた。
もらったハンターライセンスで飛行船代が無料になることを知ったときは驚いた。
他にもハンター専用の情報サイトを利用できるようになるほか、一般人立ち入り禁止区域の8割以上に立ち入りを許されるようになるらしい。

目的の空港に到着したときには念能力は元に戻り早速図書館に向けて歩き出した。

「・・・・」

自分の後をつけている者がいる。
このまま無視して図書館に向かってなにかされても迷惑がかかると思い街の裏路地に入って呼び出してみることにした。

「さっきからなんですか?」

人がいない場所に自ら移動したことに後をつけてきた人物は嬉しそうにカメリアの前に現れた。細身の男だった。

「へぇ、僕が後をつけてたのに気づいてたとはお嬢ちゃんやるね」
「それで、見ず知らずの私に何のようですか?」
「嬢ちゃんまだ新入りでしょ?僕は新人狩りでね。悪いけどお嬢ちゃんはここでハンター失格の烙印を押されるのさ」
「新人狩り...」

説明会でもハンターライセンスは高価値、リスクもあってか、新人ハンターの5人に1人が何らかの理由で合格1年以内にライセンスカードを紛失していると言っていたが今の状況でそれも納得した。

「特にハンターに執着はないから自分でなくしてしまっても問題はないけど取られるのは癪だな」

宣戦布告を受け入れ漆黒の凶器(ブラックキラー)で両手に短剣を具現化すると男は驚いた表情をした。

「お嬢ちゃん念能力者なんだ。新人といえどあなどれなさそうだね」

男も戦闘態勢を取る。カメリアの武器をまじまじと見て質問を投げかけてきた。

「お嬢ちゃんのその短剣は金属かい?」
「?そうだけど?」
「それはよかった」

細身の男はニヤリと笑うとカメリアの持っていた短剣がグッと男の方に引っ張られた。
あまりの強さに手を放すと男の手に握られた。

「なっ!」
「わっ柄まで金属なんだ変わった武器だね。僕の能力は導く力"マグネットオーラ"金属を自由に引き寄せたり離したりできるんだ」
「金属を...(相性が悪すぎる...)」

カメリアの能力で生成される武器は砂鉄。なにを作っても取られてしまう。それなら...
堂々と男たちの前で飛び道具千本を手に持てるだけ生成する。

「なるほど武器を具現化させるのがお嬢ちゃんの能力かな?」
「まぁその通りなんだけどね」

細身の男に手に持った千本を全部投げる。
すると千本が途中でピタリと止まりカメリアに向かって飛んできた。能力を解除して千本を砂鉄に戻す。

「無駄だよ。磁石のように反発も引き寄せるも自由なんだ。残念だったね〜相性最悪だよ?」
「ほんと、ここまで相性悪い相手もなかなかいないよね」
「さあ、どうする?」

カメリアは構えを止め、ふぅと息をついた。

「お兄さん、名前は?」
「急にどうした?まぁいいだろう。マグネだ。お嬢ちゃんじゃあね」
「マグネ...導く力"マグネットオーラ"....」

マグネが頭上で身の回りにある金属類を能力で持ち上げニヤリとしたそのとき。

「能力使用禁止"ドクターストップ"」
「はっ?」

頭上に持ち上げた金属が急に磁力を無くし、真っ逆さまにマグネ目掛けて落下してきた。

「わあああああああああああ!!!」

金属類の下敷きになったマグネはそのまま気絶してしまった。
盗み喰い"アビリティハンター"で発動した能力使用禁止"ドクターストップ"
対象の人物を10分間強制的に絶の状態にする念能力。
発動条件は対象を目視し対象者の名前と念能力を呟くことで発動する。一度使用すると20分のインターバルが必要になる。

「あーもう。また1日念能力使えないじゃん...」

カメリアは不貞腐れて裏路地を出た。








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