長編 書き場
□挑戦
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「わー...すごい人...」
天空闘技場にやってきたカメリアはエントリーするため受付を探すと、腕に自信があるであろう人々がたくさん集まっている場所が目に入り行列をなしているのが見えた。それに並ぶと華奢な格好からかなり目立ち注目を浴びちょっと緊張した。
「天空闘技場へようこそ。こちらに必要事項をご記入ください」
受付の人からエントリーシートを受け取って記入し、受付のお姉さんに渡して説明を受け会場内へ足を運んだ。
相手を倒すだけのシンプルルール、勝てば上に上がるシステムで200階までは勝つごとにファイトマネーがもらえるようだ。もちろん上に行けば行くほど相手のレベルも上がり、ファイトマネーも跳ね上がる。
『555番、488番の方、Aのリングへどうぞ』
555番がカメリアの番号だ。受付が終わって20分程度でリングに呼ばれ急ぎ足でリングへ向かった。
対戦相手は自分よりもふた周り程大きい男性だった。観戦者からすれば男性が圧倒的に有利に見えるが、カメリアは彼を見て拍子抜けした。
「嬢ちゃん降参するなら今のうちだぜ?俺は手加減できねぇからなぁ」
「なんだ...雑魚じゃん...」
「なんだと...???」
カメリアの不満がる声に男は逆上し襲い掛かってきたが、軽い回し蹴りで男は場外まで吹っ飛んでいった。男は場外壁に叩きつけられ気絶していた。
「555番、80階へ」
「えっ?!もう80階?」
その後も2回試合を組まれたが2回とも回し蹴りだけで場外、あっという間に150階まで到達してしまった。
「あんな...回し蹴りひとつでもう200万J...」
100階を越えると個室が与えられ、2度回し蹴りするだけで200万Jも稼げてしまい、稼げる額には想像以上で驚いたが、挑戦者のレベルが想像以上に低く残念に思った。
その日はもう眠りについて2日後には200階までラクラクとたどり着いていた。
「天空闘技場っていっても一般人用の闘技場なのかな...」
ここまで苦戦することなく上り詰めたカメリアは200階以上も期待することはなくエレベーターに乗っていた。
モニターの数字が200を指して扉が開くとフロア一帯に殺気の篭ったオーラが充満していた。
「!」
ここからは念能力必須のフロア。瞬時にそう感じ取ったカメリアは胸がドキドキしていた。
「ここからが本番...」
わくわくしているのか自然と口元が笑っていた。
曲がり角から受付嬢らしき人がでてきた。この人も念能力者のようだ。
「カメリア様ですね。あちらに受付がございますので今日中に登録お願いします。また、このクラスからファイトマネーはなくなり、名誉のみの戦いとなりますのでご了承ください」
「はい、わかりました」
200階フロアの受付を済ませるとまた200階フロアからルールが変わるようで説明を受け、新しい個室の鍵を受け取った。
早速いつでもOKで参戦の申し込みもし、個室に足を運んだ。部屋のモニターを見て見ると戦闘日が確定と表示され、明日のお昼に決まっていた。明日に整えて、砂鉄をつめたポーチを二つ腰につけるよう準備して床についた。
翌日。
『さぁ!今日は大注目の一戦!華麗な回し蹴りで200階まで上り詰めたカメリア選手が早くも登場!対するサルパ選手は3戦して3勝と未だ負けなし!一歩も動かず全勝しています!この試合、どちらが勝つのでしょうか?!』
「(一歩も動かず?)」
「始め!」
対戦相手のサルパはサングラスをかけた線の細い男性で、見た目だけでは体術は苦手そうに見えた。
「こんなかわいらしいお嬢さんに危害を加えるのはちょっと気の毒ですが、容赦しませんよ」
「ご丁寧にどうも」
実況者の発言から手強いのはなんとなく察した。カメリアは戦闘態勢に入った。いつでも砂鉄を取り出せるよう手を腰に回し相手の出方を伺うと突然背中に衝撃がはしった。
「ぐっ...」
「クリーンヒット!」
前のめりに倒れそうになるが踏ん張り背後を確認するがなにもない。
「(なに、今の...念能力?)」
攻撃された背中がズキズキと痛む。
即座に堅で全身を硬めると今度は後頭部に衝撃が走る。軽くめまいがしたら堅のお陰で軽度ですんだ。
「うっ」
「さあ!手も足もでないでしょう?」
サルパの動きをずっと見ていたが一切攻撃するようなしぐさはしていない。放出系の能力ではなさそうだ。
目に見えない透明なものに殴られた感じだった。
カメリアはサルパの動作を見るのをやめると違和感に気づいた。なぜサルパはわざわざ見通しの悪くなるサングラスをかけているのだろうか。
わずかに透けて相手の目が見え、目を凝らすとサルパの視線が定まってないのが見えた。
ふと気になりサルパの視線の先を追いつつ凝で空を見ると、オーラでできた念魚が見えた。念魚はちょうどカメリアに向かって体当たりしようとしているところだった。即座に身体を反らしたいあたりを避けるとサルパは驚いた表情をした。
「なに?!」
「なるほど...念魚か...」
「くっ...」
「視線で移動方向を指示し、念じることで行動を起こさせる具現化と操作の両方を使う念能力みたいだね。常に凝をしてなくてもアナタの視線で大体どこにいるか分かる」
「くそ!」
サルパは念能力がバレたことに焦り念魚にカメリアを攻撃するよう念じるがあっさりとかわされてしまう。
「なんだ、バレちゃえばあとは切り札なし?」
「う、うるさい!」
これ以上の能力がないとわかると鎌状の武器を具現化させ何度も攻撃を仕掛けてくる念魚を真っ二つにした。集中が切れていたこともあり念魚はあっさり消えてしまう。
鎌を肩に担ぎカツカツとサルパに一歩ずつ近寄り首に鎌をあてる。
「ひ、ひぃッ!!」
「私がいうのもなんだけど、もうちょっと念の使い方考えたほうがいいかもね。」
「ま、まままいった!」
『勝者!カメリア選手!』
ワーー!!と歓声がおきびっくりした。今までと違い一試合ごとにたくさんの観客が観戦し、実況もつくようだ。こんなに注目されながら戦うのは素直に楽しいとカメリアは思った。それにいろんな念能力が見れるのはかなり好都合だった。
「♦」