長編 書き場

□観察
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ヒソカと対決まであと1週間。
オーラ量も十分に増えてきてきたところで一旦また休憩をはさむことにした。休憩が終われば次はそろそろ念能力の見直しをしようと思いつつ部屋をでて外の空気を吸いに闘技場を出た。
闘技場の周りではダフ屋であろう人がちらほらと居て、大きな声でチケット販売をしているようだ。

「明日のヒソカVSカストロ戦だよ〜」
「ヒソカ?!」

思いもよらなかった名前にカメリアは反射的に声をあげた。ダフ屋の男性はそれに反応してきた。

「お嬢ちゃんヒソカのファンかい?どうだい明日のチケット残り1枚だよ〜」
「うっ...か、買います!」
「まいどあり!」

残り一枚と言われとりあえずと買ってしまった。
しかし、闘技場で戦うとなると戦略も大事だと思ったカメリアは明日の修行の予定を変え、ヒソカ戦の予習に観戦することにした。

そして次の日。

「うわ...すごい観客...」

ヒソカVSカストロ戦の人気はとてつもないようで観客席には空席が見えないくらい人で溢れかえっていた。
もうそろそろ始まるであろうとドキドキし始めたときだった。

「カメリア?!?!」
「えっ?」

突然名前を呼ばれ振り向くとそこにはキルアの姿があった。

「ええ?!キルアくん?!なんでここに?!」
「それはこっちのセリフだよ!!」
「ゴンくんは一緒じゃないの?」
「ああ、訳あって今は一緒じゃないけど闘技場にはいるぜ」
「そうなんだ...よかった...」

ハンター試験からずっと心配してたゴンとキルアが今一緒に行動していることを知ってホッとした。
お互い試験後の経緯を話し、笑ったり驚いたり、お互い苦労したことを知った。

「まさかカメリアがもう念を習得してるとは思わなかったぜ」
「ははは...運がよかったのかな」

もともと念を会得していたことはあえて伏せておいた。

『さあーー!いよいよです!!ヒソカ選手VSカストロ選手の大決戦!!!』

実況のお姉さんのアナウンスに観客は大歓声をあげる。キルアもカメリアも和やかな表情から真剣なまなざしでリングの方を眺めた。

「さっき、カストロに会ったけど、アイツ相当なやり手だよ」
「そうなんだ...ヒソカさん、どんな戦い方するんだろう...」

試合開始のゴングが鳴るとそこからカメリアはずっと二人の試合に釘付けになり一言も発さないまま凝視していた。
カストロの能力、おそらく具現化...そう考えていた矢先、カストロの虎咬拳にヒソカが腕を差し出したときは思わず両手を口に当てて驚いた。

「なっ?!」
「ヒ、ヒソカさん?!」

試合にずっと集中してたキルアも思わず声をあげた。
その後ヒソカはカストロの能力に気づいたようでなにを思ったのか突然手品を始めた。
千切れた右腕をスカーフに包み、宙に投げるとトランプになりバラバラと地面に落ちる。
カメリアは凝をするとトランプにたくさん念のゴムが張り付いていた。

「(あれはハンター試験のとき私につけてきた念でできたゴム...ヒソカさんの能力のひとつか...)」

そして天井に繋がったゴムもあり上を見ると投げた腕が引っ付いている。

「(私に引っ付けてきたときもそうだったけどゴムの性質だけじゃなく粘着力もある性質...単純な能力だけど応用がすごく効いてテクニック次第ではとても厄介そう...)」

能力を分析しつつもヒソカが手品をしている間にどんどんゴムの念を仕掛けているのをカメリアは見逃さなかった。

「(準備するための誘導や演出が上手い...)」

ヒソカのバトルテクニックに感動したカメリアは思わず笑みがこぼれた。

「はは....」
「カメリア...?」

キルアは不思議そうにカメリアの方を見たがカメリアはキルアの呼び声は聞こえていなかった。
リングから目が離せなく、とてもわくわくどきどきしてきた。勝てる気がしない、けど戦うのが楽しみ。そんな気がした。

ヒソカとカストロの戦いはその後ヒソカの仕掛けた念がピラゴラ装置のように次々とカストロに襲い掛かりそのまま息を引き取りKOとなった。

試合が終わってキルアとカメリアは闘技場内を一緒に歩いていた。

「カメリアさ、さっきなんで笑ってたんだ?」
「えっ?笑ってた?」
「お前...自分で気づいてなかったのか?」
「あー...実はね...」

カメリアは1週間後ヒソカと戦うことになった経緯を説明した。

「はぁ?!?!それ大丈夫なのかよ...」
「いや...勝てる気がしない...だから笑ってたのかな?ははは...」
「笑い事じゃねぇよ...」
「でもまぁ...できるだけがんばるよ」
「結局俺らカメリアの実力みたことないから楽しみにしてるよ」
「えっ見に来るの?」
「あったりまえだろ?ゴンにも伝えとくからな」
「ひえ〜がんばります...」

じゃあなとキルアは軽い足取りで自室に戻っていってしまった。
ヒソカのテクニックを目の当たりにしたカメリアは対策を練るために自室に戻ろうとしていたら対向から見覚えのある人物が見えた。

「あれ?マチ?!」
「カメリア?!なんであんたがこんなところに?!」
「いやいやそれはこっちのセリフだよ!マチって格闘技に興味でもあったの?」

久しぶりの唯一の友達との再会にカメリアはあまりの嬉しさにマチに抱きつきマチもそれをすんなり受け入れる。

「そんなわけないでしょ。知り合いに依頼されてきたのよ」
「依頼?マチも依頼受ける側の仕事してたの」
「まぁ個人的にね」
「そっかぁ〜仕事の邪魔してごめんね〜今度ゆっくりおしゃべりでもしようよ」
「そうね、仕事が落ち着いたら」
「私マチの仕事の話全く聞いた事なかったから今度話してよ」
「そ、そうね...」

マチはとてもバツの悪そうな顔をしていたがカメリアはマチに会えた嬉しさからその表情に気づかなかった。
そのまま二人はまた別れ、マチはヒソカの両腕を治しに、カメリアは念能力の改善に努めた。

----ヒソカとの対決前日

「これで少しは使い勝手よくなったかな...」

今まで手元で武器生成しかできなかった"漆黒の凶器(ブラックキラー)"を少しだけ改善し、ヒソカと戦うときは"盗み喰い(アビリティハンター)"を使うことを決めていた。
なんの能力を使うかは一応決めているが使えるかどうかはそのとき次第である。
今回の戦いは"勝つ"より"楽しむ"。そう決めていた。
明日はいよいよヒソカとの戦いだ。急に実感が湧いてきてドキドキしてきた。今夜はちゃんと寝れるか心配だ。
そう思いながら今日はいつもより早くベッドに入ったが、やはりなかなか寝付けなかった。






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