長編 書き場
□肉迫
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『カメリア選手VSヒソカ選手注目の一戦がはじまろうとしています!』
カメリアがリングに姿を現すと実況のアナウンスがはじまり観客の歓声が沸き上がる。
「(す、すごい人...)」
先週のヒソカとカストロの時並みに観客席は満席でにぎわっている。カメリアが緊張しきっていると正面の選手入場口からヒソカの姿が見えてきた。
「やぁ♦カメリア♦この日を楽しみにしてたよ♣」
「私は気が気じゃなかったよ...」
ニコニコと入場してきたヒソカはいつものピエロメイクに奇抜な恰好でやはりあの時一緒に出掛けた人物と本当に同じ人かと疑うほどである。ヒソカの嫌なオーラに今は2週間前のドキドキとは違うドキドキで冷汗がでる。
「修行の成果みせておくれ♣」
「お、お手柔らかに....」
「始め!」
審判の合図でカメリアは身構えた。
しかしヒソカは攻撃を仕掛けてくるのではなくトランプを数枚地面にバラまいた。
「?」
「君はカストロとの試合を見に来ていたよね♣」
「!」
その瞬間バラまかれたトランプがカメリアの両手両足を目掛けて引き付けられるように飛んできた。
カストロにとどめを刺したときと同じ方法だと咄嗟に気付いたカメリアは長刀を即座に具現化させいつの間にか自分につけられていたヒソカの念の糸を切断した。
「おみごと♠まぁ、さすがにこれくらいでやられちゃ面白くない♣」
「いつの間に...」
「"伸縮自由の愛(バンジーガム)"」
「えっ?」
「ボクのこの能力♠ガムとゴム両方の性質をあわせもつ...便利だろう?♠」
「教えちゃってもいいんですか?」
「君にはすでに大方バレてたし、教えたって問題ない♦」
「そう...ですか...」
ヒソカが自ら能力について教えてきたことは思いもよらなかったがカメリアにとっては都合がよかった。
「ヒソカさん」
「?」
「今回私はヒソカさんに勝てるとは思ってません」
「はなから諦めるつもり?♠」
「いえ、そういうわけではありません」
カメリアは腰につけていたポーチを二つ両手に持ち中に入っている砂鉄をステージ中に無造作にバラまき、宣戦布告するようにヒソカに指を指す。
「勝てる気はしないですけど、自分なりに楽しませてもらいますね!」
「いいね♦」
カメリアは長刀を手に勢いよくヒソカに向かって振りかぶった。もちろんヒソカはそれを後ろに飛んで軽くかわすがカメリアの背後から数本の千本が飛んできた。
それをジャンプでかわすが千本が軌道を変えて追尾してきた。
「!♠」
ヒソカは一瞬驚いた様子だったが冷静に追ってくる千本をすべてキャッチした。
「まだまだ!」
「!」
千本に気が集中していたヒソカはカメリアが背後に回ったことに気が付かず背中に蹴りを喰らった。
『クリーンヒット!1ポイント!カメリア!』
ヒソカがキャッチした千本はサラサラと砂鉄に変わり、カメリアは蹴りを入れた直後ヒソカと距離を取った。
「君の能力は...砂鉄から武器を作る能力っと思ったけど...♠」
「それであってますよ」
「そう...♦それなら昔、君に似た能力を持った子がいたな」
「えっ?そうなんですか?」
突然ヒソカはカメリアとの間合いを詰めるようダッシュし物理攻撃を仕掛けてきた。
急な物理攻撃にカメリアは一瞬慌てるがしっかり攻撃を見極めガードしていく。
隙を見てまたヒソカと距離をとり構えの態勢をとった。
「あぶなっ!」
「ちゃんと警戒するのはいいことだ♣」
「さすがにヒソカさんと近距離は怖いですよ」
「でもおしい♦」
「わっ?!」
ヒソカが紐を引くように片腕を動かすとカメリアの左腕が引っ張られ体が宙に浮き、ヒソカに向かって飛んだ。
「さて、どうする?♠」
そう言って反対の手で拳を握りしめ向かってくるカメリアに目掛けてつきだそうとした。
「!♠」
カメリアは咄嗟に右手を先ほどのヒソカと同じように紐を引くように動かした。すると殴りかかろうとしたヒソカの腕がグッと引っ張られカメリアはヒソカを通り過ぎ態勢を整えて着地する。
「あ、あぶな...」
いつの間にかつけられていたバンジーガムを小刀
で切り落としほかにつけられてないかしっかり確認した。
「(今のはバンジーガム?どういうことだ♣)」
カメリアは盗み喰い(アビリティハンター)でヒソカの伸縮自由の愛(バンジーガム)を使用していた。
ヒソカの戦闘能力の高さを実感するにもこのシンプルな能力で自分はどこまで戦えるのか試してみたかったのだ。
「さっきの針が軌道を変えたのはこれか...♦」
「察しよすぎじゃないですか...?」
千本の軌道を変えたのも千本とヒソカにバンジーガムを引っ付けて縮ませ、キャッチされた瞬間念を解除したものだった。
「念をコピーする能力を持つ人は知ってるけどいつコピーされたのかな♦まず最初の反応から能力名は必要って感じかな?♠」
「(まずい...ヒソカさんはかなり鋭い...)」
ヒソカの頭の回転の速さにバンジーガムを選んだ自分にすこし後悔しつつ次の行動を考えていた。
「わたし...この試合終わって生きてるのかな」