長編 書き場

□標的
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街に出かけていたクロロのケータイにシャルナークから『気になるものをみつけた』とメールが入っていたため急いでアジトに戻っていた。

「あぁ、団長おかえり」
「気になることとはなんだ?」
「そもそもの話だけど、団長が探している女の子って本当に一般人なの?」
「?どういうことだ?」

シャルナークの言っている意味がわからないクロロは首を傾げると触っていたノートパソコンの画面をクロロの方に見せた。

「これ、ハンター専用情報サイトなんだけど。この子じゃない?」
「!」

そこにはカメリアの容姿と一緒にいくつかの情報が載っていた。
クロロは図書館で出会った時に一切念を感じなかったのでとても驚いた。

「それと、一般人として探してもデータベースに彼女の情報は一切出てこなかったが、ハンターサイトでは出てきたんだ。」
「つまり....」
「そう、彼女は流星街出身の可能性が高い」
「.......そうか」

シャルナークの話を聞いてクロロは何かを企んだように笑った。

「シャル、全員に招集ついでに伝えて欲しいことがある」





ーーーーーーーーーーーーーーーーー





少し落ち着いて泣き止むとヒソカが漸く口を開いた。

「とりあえず僕の部屋においで♣」
「え?」
「ほら、この部屋ぐちゃぐちゃになっちゃって落ち着かないでしょ♦」
「あ....」

部屋の惨状な光景にまったく気づいていなかったが男たちのバラバラになった死体と飛び散った血、割れた窓ガラスと破片が部屋中に散乱していた。よくこんな中に長い時間居れたものだ。
カメリアはヒソカの提案を受け入れ、ブランケットは羽織ったまま着替えの服をクローゼットから取り出して部屋を出ようとした。

「へっ?!」

ドアノブに手を掛けた途端ヒソカが急に姫抱きしてきて部屋を出た。

「ヒ、ヒソカさん!自分で歩けますから!」
「いいから大人しくしてな♣」

流石に暴れるほどの体力はなかったので大人しくヒソカに連れて行かれることにした。
部屋に入るとすんなりとおろしてくれてほいっとバスタオルを手渡してきた。

「?」
「シャワー浴びてきなよ♣大丈夫覗いたりしないよ❤」
「あ、ありがとうございます」
「シャワー浴びてる間に君の荷物もこっちに持ってきておくよ。あの部屋はもう行きたくないだろ?♦」
「え、そんなそこまでしてもらうなんて」
「僕の気まぐれだから❤」
「そ、それじゃあよろしくお願いします」

ヒソカが気を遣ってくれていることが少し意外できょとんとしてしまったが、言葉に甘えてシャワーを浴びることにした。

〜〜♪

カメリアがシャワー室に入るとケータイの着信音が鳴った。シャルナークからメールが届いたようで内容を確認すると眉間にシワを寄せた。


『団長命令、アジトに向かう際、カメリアという女を見つけたら一緒に連れてくるように。生きていれば手段は問わないそうだ。画像を添付しておく』

文章とともにいつ撮られたのかハンター試験中であろうカメリアの写真が添付されていた。


「団長がなぜカメリアを....♦」

気にはなったが特に返信はすることなくポケットに携帯を戻すとカメリアの部屋に足を運んだ。





「貴重品と服くらいしか持ってきてないのかな?♣」

血の匂いが充満するカメリアの部屋で持ち物をかき集めるが着替えの服が数着と財布と携帯くらいしか見つからなかった。
他に何もないことを確認して部屋を出ると、腕の中から着信音が流れる。どうやらカメリアの携帯に誰かから電話が掛かっているようだ。
出るつもりはなかったが相手が気になり携帯の画面を覗くと“マチ”と表示されていた。

「!マチ?♦」

まさか自分の知っている人物とは思ってもいなかったヒソカは興が湧いて電話に出た。

『カメリア!!なんでアンタ』
「やぁマチ♠」
『はぁ?!ヒソカ、なんでアンタがカメリアの電話に出てるの』
「カメリアとはここ最近一緒にいるんだ❤」
『アンタの腕を縫い付けた後にカメリアに会ったけどまさかアンタが絡んでたとはね』

案の定マチの驚いた声が聞けて満足そうに笑うと罵声が飛んでくる。

『カメリアに変なことしてないだろうね?』
「ボク"は”なにもしてないよ♦ところでカメリアに電話を掛けたのは団長の件かい?❤」
『それでカメリアに聞きたかったけど私も今から用があるからまた掛けなおす。ちゃんと携帯返しておきなさいよ』
「はいはい♠」

間があったので要件は済んだのだろうと電話を切ろうとするとマチが真剣なトーンでしゃべりだしたので耳に携帯を当てなおす。

『アンタカメリアの念についてどこまで知ってる?』
「砂鉄を武器にすることと念能力を真似するところくらいかな?」
『それだけ?』
「あー...あと戦ったときの感じだと、恐らく真似する能力は使用したあと一定時間絶になる。って感じかな?♦」
『そう...そこまで知ってるなら...アンタに頼むのも癪だけどその絶の状態になってる間にもしまた念能力を使おうとしたらなにがなんでも止めて。なんだか嫌な予感がする』
「それってどういう....」

ブチッ

理由を聞こうとした途端電話が切られてしまった。

「まったく...言うだけいって切っちゃうなんて♠」

特に掛けなおしてまで聞くことではないかとあまり気にすることもなくそのまま自分の部屋に戻った。





「あ、ヒソカさん。荷物ありがとうございます」

部屋に入るとすでにカメリアはシャワーから上がっておりバスローブを羽織って首からタオルを掛けていた。

「いいよ〜♠それよりさっきカメリアにマチから電話があったよ♣」
「えっ!マチから?ってヒソカさんマチと知り合いなんですか?」
「そうなんだよね〜♣ボクもビックリしちゃった♠」

持ってきた荷物をテーブルに置いてベッドに腰掛ける。

「なんだか色々してくださって本当にありがとうございます」
「君を殺しに行くつもりで行ったのにまさかこうなるなんてね♠」
「あ....そうでしたね」
「今日は色々あって疲れただろう?♠もう寝なよ♦何もしないから安心して❤」
「えっと....じゃあお言葉に甘えて」

いつもなら遠慮するところではあるが本当に今回はいろいろありすぎて疲れていたため好意に甘えることにした。

「おやすみなさい」
「うん♠おやすみ❤」

カメリアがベッドに入り眠ったことを確認するとシャワーを浴びて床に就くことにした。
カメリアが寝ていたベッドはキングサイズだったこともありスペースにかなり余裕があったのでそのまま隣で就寝した。








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