長編 書き場

□確信
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「そういえばそんなこともあったな.....♠」

目が覚めたヒソカは時計に目をやると6時を指していた。
先ほどみた夢は過去の経験だったが、当の本人は今のいままで忘れていたのだ。
隣で静かに寝ているカメリアに目をやると夢でみた少女の姿が重なる。しかし今隣で寝ているカメリアが幼少期の時に出会ったカメリアとするには若く見える上に以前会ったことあるかと聞いたときに知らないと言われたのだから別人だろう。能力の使い方も似てはいるが違うように感じる。
同じ名前の少女に出会ったせいでこんな昔の夢をみたのだろうか、ヒソカはカメリアの髪を指で梳かすように触れた。

「君と同じ名前なんて偶然だよね♠」

カメリアに話しかけるように独り言をつぶやく。

「...もし彼女が生きていれば君よりもう少し大人びてるかな....♦」

夢でみた少女が大人になった姿を少し想像してフッと苦笑いする。死んだ人間を懐かしむなんて自分らしくないなと呆れてベッドから出て身支度することにした。





「.........んっ...」
「やぁ♠よく寝たねおはよう❤」
「ヒソカさん、おはようございます。早いですね」

カメリアが目覚めるとヒソカはすでに着替えとメイクを済ませワイン片手にテーブルでトランプタワーを組み立てていた。

「朝からワインですか....??」
「うん、美味しいよ❤️カメリアも飲む?あ、まだ飲めないか♣」
「えっ?なんでですか?」

どういう意味かわからず不思議そうに首を傾げるカメリアにヒソカも首を傾げた。

「?♦️だって君まだ二十歳をすぎていないだろう?」
「いえ…..これでも一応24です…..」



「................♠」

「.........?」



「................えっ?♦」


時が止まったかのように硬直したヒソカが必死に言葉を振り絞るが、あまりにも動揺していたせいで手が組み立てていたトランプタワーに当たりパラパラと崩れた。

「そ、そんな動揺しますか?!」
「い、いや...ちょっと待ってね♦」

汗を流して動揺するヒソカを初めてみたカメリアはあたふたとする傍らヒソカは予想外のことに頭を抱えた。

「カメリア、君は子供の頃なにをしていた?♣」
「えっ?すみません、私子供の頃の記憶がないんです....」
「記憶がない?♠」
「はい、私もなんで覚えてないのかわからないんです」
「.......そう♦」

ヒソカは口元に手を添えて思考を巡らせると、ある考えに辿りつきゆっくりと立ち上がる。

「えっと...ヒソカさん...?」
「一つ確認したいんだけど君がボクの”伸縮自由の愛(バンジーガム)”を再現した能力を使うと念能力が一切使えなくなるというのは間違いないかい?♣」
「う....そ、そうです....」

当たり前ではあるがヒソカには“盗み喰い(アビリティハンター)”の欠点はバレてしまってるようで隠しても仕方がないと思ったカメリアは素直に返すことにした。

「条件等は内緒ですが、一定時間で丸一日使えなくなります。」
「丸一日か...♠十分不便であるけどそれ以外の身体的なリスクってあるかい?♦」
「?いえ、1日念が使えなくなるくらいしか...」
「そう....♦それじゃあ....」

なにかを聞こうとした人かが途中で言葉を止めた。

「どうしたんですか?」
「いや、やっぱりいいや♣」

なにを考えているのかさっぱりなカメリアは首を傾げるがヒソカはずっと思考を巡らせるているようだ。

「ちょっとボクは出かけてくるから大人しくしてるんだよ♣また変なのに絡まれるかもしれないからね♠」
「はい...そうさせてもらいます...」

流石に昨日の件で念の使えない状態で200階フロアを歩き回るのは怖くなったカメリアはヒソカの言う通りに大人しくするしかなかった。
部屋を出たヒソカは天空闘技場を出て人気のない場所まで来ると携帯電話を取り出してある人物に電話を掛けた。







「もしもし♦」
「今忙しいんだけど、くだらないことだったら切るからね」
「マチは相変わらずつれないなぁ〜❤」

相手は昨夜電話を掛けてきたマチだった。

「カメリアの件だけど♦」
「!なに....」

カメリアの名前を口にすると素っ気ない態度だったマチは一瞬で真剣な声色に変わった。

「昨夜言ってたことについて気になってね♣実はあの後本人に直接質問したんだけど、彼女幼少期の記憶がないんだって?♦マチは知ってるかい?♠」
「知ってるよ。それが?」
「君ならカメリアの記憶がある以前のことを知っていると思っているんだけどどうかな?♣」
「.......」
「大丈夫♦知っていたとしても深くは聞かないことにするよ♠気にはなるけど❤ただ一つ確認したいだけなんだ♦」
「場合によっては教えないよ」
「カメリアの特質系能力なんだけど、昨夜の言いぶりからすると絶の状態から無理矢理能力を使うことってできるんだろう?♦」
「まさか、カメリアにそれについて聞いてないよね?」
「大丈夫、マチがわざわざボクにお願いしてくるんだからもしかして本人はそれを知らないんじゃないかと思ってね♣」
「それならいい。絶対カメリアに言うんじゃないよ」
「はいはい♠それでボクの仮説なんだけど、無理矢理能力を使うと反動で”仮死する”、もしくは”記憶がなくなる”とかだったりするかい?♣」
「!!」

どう仮説をすればそこに辿りつくのか意味がわからなかったマチは驚いた声を隠せなかった。

「そう、やっぱりそうだったんだ♣」
「.....そうだとしてカメリアをどうする気」
「逆だよ♠絶対カメリアに能力を使わせない♦」
「は?急にどうし.....いや、それならそれでいいんだけど....」
「ボクの用件は終わり❤それじゃあね❤」
「あ、もう一回念押ししておくけど召集命令、忘れないでよ」
「はいはい♦」

電話を切ろうとするとマチが思い出したように言葉を発した。

「団長とカメリアの接点知ってる?」
「君なら知ってるかと思ったけど、ボクもわからないんだ♦」
「そう......」
「どうする?連れていくの?♣」
「勘だけど団長はきっとカメリアを殺したりなんかはしないと思う....でもできるだけ危険な目には合わせたくないから私は連れて行かない。成り行きを見守るよ」
「わかった♣」
「それじゃあ....」

電話を切りヒソカは壁に凭れ掛かると、はぁ...と大きくため息をついた。
もう死んだ人間だと思っていたカメリアがまさかここ最近行動を共にしていたカメリアと同一人物だったことに驚きを隠せなかった。
カメリアの記憶の欠如とヒソカが死んでいると勘違いしたのは、過去の盗賊襲撃事件で特質の念能力を2度連続で使用したことにより仮死したことが原因で間違いはないだろう。
やっと自分の中でモヤモヤしていたことが晴れてヒソカはカメリアの居る自分の部屋に戻ることにした。











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